焔と彩編 利益の管理にかかるコスト
『生き甲斐を求めるために働く』
もいうのは、なにも<労働者側><雇われる側>だけに限った話じゃない。実は<企業家側><雇う側>にもその感覚は浸透しているんだ。だから、
『単に効率よく自分が理想とする経営を行って儲けたい利益を上げたい。というわけじゃない』
経営者もごく普通に存在する。
<自分の思い通りにはいかないことを楽しむ経営者や企業家>
も当たり前にいるんだよ。
その一方で、
『ひたすら効率を求める経営者や企業家もいる』
ということなんだよな。かつてはそれこそが正しいと長く思われてきたわけで、そういう感覚は簡単には消えてしまわない。
『子供は親の所有物』
『人間は結婚して子供を設けて一人前』
『家を守るのが最も大事』
的な感覚が今なお完全には消え去ってしまっていないようにな。
そして『ひたすら効率を求める経営者や企業家もいる』こと自体は決して『間違ってる』というわけじゃないだろう。あくまでも<考え方の一つ>というだけでしかないさ。『すべてをロボットにやらせる』というのがいささか極端でやりすぎかもしれないというだけで。
そのコミュニティ独自の法律では問題ないとしても、他の惑星やコミュニティと取引するのであれば色々とリスクも伴うだろう。そういう考えを是としないところとの取引は難しいだろうし、強く反発するところもあるかもしれない。<市場>が限られてしまう可能性は高いよな。
もっとも、現在の地球人社会の市場規模そのものが途轍もないもので、それなりの規模のコミュニティを市場として取り込めれば、二十一世紀頃の貨幣価値に換算すれば<数千億円>規模の利益だって見込めるらしい。
普通に<億万長者>にもなれるだろ。そこで満足するだけでも身の丈を大きく上回る暮らしができるだろうな。
とはいえ、<人間(地球人)>ってのは欲深い生き物だからなあ。さらに大きな利益を得ようとする者はやっぱりいるんだよな。
ただ、地球人社会全体から莫大な利益を得ようとしても規模があまりにも大き過ぎて管理が難しいらしい。その管理のために必要なコストも途方もない額になってしまうんだとか。
だからまあ、結局は常識的な範囲の<億万長者>に収まってしまうとも聞く。
むろん、そのコストを掛けてでも『もっともっと』と考えるのもいるが。でもなあ、
『利益の管理にかかるコストがやがてその利益そのものを食いつぶしてしまう』
ことも事実なんだよな。これは決して、
『税金がバカ高い』
なんて話に限ったことじゃないんだ。




