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焔と彩編 地球人という種の特徴

『<非婚>や<高齢者介護>を技術によって問題なく成立させることができるようになったことで人間は自然の摂理の頸木から解き放たれた』


的なことを言うのがいるという点についてレックスは、


「確かにそんなことを言う研究者もいるけれど、私個人としてはその見解に対しては懐疑的かな。そういうのはあくまでも<地球人という種の特徴>でしかないと思うんだ。


確かに 一般的に言われる<自然の摂理>からは外れているかもしれないにしても、『生物としての常識から外れている』という意味では、それこそ『寿命そのものを持たない』とされている種もあるからね。


一見すると自然の摂理を超越しているかのような部分があるのも客観的に見れば<地球人という種の特徴>というだけに過ぎないとは私は考えている」


少し苦笑いを浮かべながらも淡々と口にした。


彼の言ってることは俺にも何となく分かる。<知恵>も<知能>も<技術>も、なるほど、


<地球人という種の特徴>


なんだろうなと俺にも思えるんだよ。老化抑制処置によって本来の寿命よりはるかに長く生きられるようになったといっても、結局は年老いてやがて死んでいくこと自体は今も変わっていないから、その辺りについてはまだまだなんだろうなと思う。


「改めて、<生物としての寿命>という話でもう少し詳しく触れれば、一部のクラゲや甲殻類の中にはいわゆる<寿命>というものを持たない種もいるんだ。でも、だからといってそれらが<生物を超越した存在>か?といえば、決してそういうわけじゃない。あくまで<その種が持つ特徴的な生態>というだけでしかないだろうと私は考えているんだ」


レックスもそう語っている。


彼の言う通り、


『地球人は自らの感情と知恵と技術によって、一般的な野生の動物では有り得ない、『非常に高い確率で自分の子孫を残そうとしない個体が存在』して、かつ『高齢になって自分の力だけでは生きられなくなった親を支えようとする』という特徴的で特殊な生態を獲得しただけ』


だと俺も思うんだ。


何より地球人は、スペースコロニーという人工環境を手に入れたにも拘らず、結局は惑星という、元々は地球人が作ったものではないそれに手を加えただけで暮らしているんだよな。


まあ、スペースコロニーは所詮は<建造物>だから<耐用年数>というものがどうしてもあるからな。


現在の技術と材料で作られたそれは数千年単位の耐用年数も確保できているものの、初期の頃に作られたスペースコロニーは、<歴史的遺物>として保存されているもの以外は影も形もなくなっているそうだ。



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