表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2383/2989

焔と彩編 人生を謳歌してただけ

そういう諸々を背景にしつつも、俺の方は考えさせられつつも、当の(ほむら)(さい)達はまるでお構いなしにただ自分達の人生を謳歌してただけだった。


腹が減れば餌を獲りに出て、互いに気持ちが盛り上がれば求め合って、満たされれば穏やかに眠りにつく。


ただただそれをずっと繰り返してきた。


人間のように旅行に出たりするわけでもイベントに出かけたりするわけでもなく、傍目には退屈なようにさえ思える毎日を淡々と過ごしてきたんだ。だから特に触れるようなこともなかった。触れる必要もなかった。触れたところで本当に毎日同じことを記すしかできなかったしな。


それでいて二人の姿は俺の目にもちゃんと満たされているように見えた。余計な口出しをする必要は感じなかった。子供ができなかったことについても二人が何か悩んでるような様子もなかったし。


だからこそ余計な口出しをせずに黙って見守ることができてたんだよな。


その一方で(あらた)(りん)の場合は、子供を望んでいない(あらた)と子供を望む(りん)との間で度々、喧嘩のようなことも起こっていた。


でもまあどちらかといえば(りん)が一方的に(あらた)を責めている感じだったが。それを(あらた)は面倒臭そうに逃げ回っていたのが実際のところか。


それでもしばらくすれば落ち着いて仲もよさそうにしていたのが、ある時から完全に別行動するようになった形だな。


この時点でもう関係の修復は不可能だったんだろうさ。


だから俺は、(りん)をレオン本来の生息域である草原に連れて行ったんだ。コーネリアス号が不時着した草原にな。


最初は少し戸惑った様子だった(りん)も、すぐにレオンとしての感覚が目覚めたのか、当たり前のようにレオンとして暮らし始めた。


近くには(そう)(かい)もいたが、彼女のことを覚えていたみたいで多少は警戒している風だったにせよ、追い払おうとまではしなかったよ。


完全な野生のレオンであればたとえ兄弟姉妹であっても縄張りや餌を奪い合う<敵>ではあるものの、やはり俺の下で育った影響がそういうところでも感じられるな。


何にしても、同じ時に生まれた姉妹でありながらも(さい)とは別の選択を行ったのは事実だ。


人間だけに限らず、<別の個体>であればそれぞれ異なる選択を行うのはむしろ当然のことだろうさ。


どちらの選択が正しくてどちらの選択が間違ってるなんてことも言うつもりはない。(さい)(りん)も、俺の目には不幸には見えなかったしな。


幸せであればそれでいいし、そうじゃなければ『残念』とも思うにせよ、二人の場合はそこも大丈夫だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ