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閑話休題 当

(あたる)は、<クロコディア>である。


母親は(きたる)。父親は不明だが、それはさほど重要ではなかった。基本的にクロコディアの父親は育児には関わらないからである。母親の方もそんなことは期待しない。  


だが、それはあくまで<一般論>であって、必ずしも<絶対>ではない。事実、(あたる)はクロコディアの雄としては珍しく、


<我が子の育児>


に、あくまで『比較的に』ではあるものの関わる傾向を見せてきた。


そんな彼のパートナーは、<メイガス>。<惑星探査チーム・コーネリアス>のメンバーの一人<メイガス・ドルセント>の記憶と人格を持って顕現した<透明なクロコディア>だった。


もっとも、クロコディアの目には、


<透明なクロコディアの体を通過してきた光線>


は捉えられないらしく、<アルビノ個体>のように見えるらしかったが。


さりとて、透明であれアルビノであれ、<普通のクロコディア>からすれば特異な存在であることには変わりなく、ともすれば敬遠されがちであるにも拘らず、(あたる)はメイガスをパートナーに選んだ。


それは、連是(れんぜ)達<人間>の傍で育った(きたる)を母親に持った影響だったのだろうか。(あたる)自身はほとんど連是(れんぜ)達と関わったことはないはずなのだが。


その辺りについては今も不明ではあるものの、それほど気にするべきことでもないのだろう。


(あたる)はメイガスを選んだ』


というのがあくまでも事実だし、(あたる)とメイガスの関係は良好なものだったのだから。


そんな二人の間には、<ラケシス>という息子と<アトロポス>という娘がいる。クロコディアは<個人名>を付ける習性はないが、メイガス・ドルセントとしての記憶と人格を有するメイガスが名付けたものである。ちなみにその名前は<運命の三女神>にあやかっており、メイガス・ドルセントには<クロト>という娘がいたのもあって付けられたものだった。


クロトはあくまで<メイガス・ドルセントの娘>であるため(あたる)とは一面識もないが、ラケシスやアトロボスについてはどちらの養育にも関わってきた。


もっともそれは、


『餌を持って来る』


や、


『外敵から守る』


といった程度であって、人間のように遊んであげたり勉強をみてやったりというのではなかったが。


さりとて、クロコディアの雄がそこまですること自体が珍しいのだ。が、実は彼の実の祖父にあたる(ちから)も彼の母親である(きたる)の養育には関わってきたので、ある意味では『祖父に似た』とも言えるのかもしれない。


いずれにせよ。どのような理由であれ彼が我が子を育てたことには違いないと言えるだろう。



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