表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2328/2988

凛編 元の家族

(りん)の家族>だけが残り、ある意味じゃ元に戻ったとも言える群れだが、それでも家族自体が増えているからな。完全に昔に戻ったわけじゃない。


加えて、皆、むしろ穏やかな様子だった。特に(ほう)は満足気かつホッとした表情をしているように感じる。彼女にとっては最も好ましい結果だったんだろう。


<一般的なレオン>としては決して好ましいとは言えないはずだ。小規模な群れじゃ他のレオンの群れやオオカミ竜(オオカミ)などの外敵に対抗するには厳しいからな。普通なら『間違ってる』と言えるだろうな。


だが、先にも触れたとおり、野生には<明文化された法>や<厳格なルール>は存在しない。なにをしようとどんな選択をしようと咎められる筋合いはない。上手くいかなければ自身の命も含めてすべてが失われる可能性があるというだけだ。


しかし、


『絶対に上手くいかない』


というものでもない。<生き物の種>というのは、本質的にそういう形で生き延び、繁栄を続けてきた。環境の変化等があった際には、


<本来ならやらないこと>


をやることで生き延びる者もでてくるんだ。


もちろんそれが結果的に失敗に終わる場合も当然のこととしてある。あるが、<本来のやり方>ではどうにもならなかった時に、


<起死回生の一手>


になることも確かにあるんだよ。


まあもっとも、(りん)達の場合は、


<俺の親族>


というのが何より強力な後ろ盾になってるけどな。だから実際には、どんな無茶をしても帳尻を合わせることはできてしまう。


(りん)達にはそういう発想がないだけだ。<人間(地球人)>と違って。


()号機をけしかける程度のことは思い付くとしても、そうなると今度は俺が()号機に待機を命じるけどな。


(りん)達を守ることについては躊躇わないが、だからといって他者を侵害する行いに加担するつもりはないんだよ。それを許すつもりもない。


いくら<俺の子供>であっても、いや、俺の子供だからこそそれを許すつもりはないんだ。


『子供が自立したらもう親に責任はない』


と地球人はよく言うが、その考え方は、これまで何度も触れてきたように俺の実感とはかけ離れているな。


俺の子供達は全員、俺の勝手でこの世に送り出したんだ。俺の<選択の結果>そのものだ。それが理不尽に他者を害するなら、元々の原因を生み出した俺に責任がないわけないだろう? 


もっとも、そもそもそんなことをする必要そのものを与えてこなかったし、実際、俺の子供達が他者に対してそこまで理不尽なことはしてこなかったのも事実だけどな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ