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凛編 自分にとって都合のいい相手

相変わらず話が逸れていくが、逸れたついでに触れておくが、<ペット>を人間の都合に合わせようとするのはペットにされた動物にとっては大変なストレスらしい。


これはもちろん、


『狭い檻に閉じ込められる』


のをはじめとした諸々の、


<ペットを人間社会で飼うのに必要なあれこれ>


についての話だ。イヌはそもそも<群れを作る動物>だから、人間を<ボス>と認識できればそれに合わせるのを是とする習性があるが、他の群れを作る動物はそもそも人間をボスとはまず認めてくれないしな。


前にも触れたように、人間以外の動物だって楽して生きられればそれに越したことはないし、労せずして餌が得られるならありがたいだろうさ。


だが、狭い檻に閉じ込められて自分達の習性にはない形のスキンシップなどを行われて、それを喜ぶと思っているのは人間の側だけだろ?


楽して餌にありつけるのはいい。だが人間の都合に従わされるのは苦痛なんじゃないのか? 実際、苦痛に感じてるらしいぞ?


だから今の人間社会において<生きた動物>をペットにするのはハードルが高いんだよな。そもそも人間の方が動物の生態や習性に合わせることが要求されるし、そうなると当然、


<ペットを連れての旅行>


なんかまずできない。


『長時間ケージに入れておくなんて有り得ない』


しな。生きた動物をペットとして飼うのは、人間の子供を養育することの数倍の費用が掛かることも少なくないそうだ。だから基本的に、<ペットロボット>をペットとして購入することが多い。


ちなみにペットロボットも、リアルに生身の動物を再現してるから<餌>も食べるし<糞>もする。そして<寿命>もある。<保証期間>の間は確実に『生きてる』が、それを過ぎるとランダムで寿命を迎え、動かなくなるそうだ。


それについて、


『ロボットじゃ命というものを学べない!』


とか主張する<活動家>もいるものの、


『生きた生身の動物をペットにする』


のを望む奴なんてのは、本当に<命の尊厳>を考えてるのか? 


『命について学ぶ』


なら別にペットでなくても構わないだろう? それこそ自分の家族の生と死を間近で見ればいい。それが嫌で離れて暮らしておいて『ペットから命を学ぶ』とか、茶番もいいところだろ。


しかも、それまでペットに癒されてたタイプの人間は、ペットロボットが発展してくると揃ってそっちに移行したらしいしな。それどころか、<ラブドール>を迎えて普通に<同居>してるのもいるらしい。


要するに、


『自分にとって都合のいい相手が欲しかった』


だけということだろうさ。




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