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凛編 仕組みを根幹から作り変える

ああそうだ。(ひそか)が認知症を患い、自分のことさえ自分じゃできなくなった姿を見てきたことで改めて実感したが、


<親の介護>


なんてのはあまりにも不自然に過ぎるだろ。自然においては。自分の命を守るだけで精一杯な野生の世界で、


<介護が必要な親>


なんてのはそれこそ<足手まとい>以外の何ものでもない。まさしく<リスク>そのものだ。


なのに人間(地球人)は、


『年老いた親を子供が支えるのは当然の義務だ』


的な価値観を作り上げてそれを是としていたよな。親の面倒を見ようとしない子に対しては、


『この薄情者!』


などと罵ってまで親を支えさせようとしていた。かつては子世代が現役引退した親世代を支える仕組みの制度なんかも運用されてたと聞く。まあそれも、二十五世紀頃にはすっかり廃れて、自分の老後を支えるための年金を自ら積み立てていく制度に切り替わったらしいけどな。今じゃすっかりそれが常識だし。


そもそも不自然で無理があったんだろう。すべての親が子供から尊敬されて感謝されるようなのでいられるわけじゃない以上は。ましてや<他人の親>なんて。それどころか、


<自分じゃ子供も作らなかった赤の他人>


だとか進んで支えようと思えるか?って話だし。


もっとも、制度の仕組みを根幹から作り変えるのは、それによって負担が増える世代からの猛反発もあってなかなか実現しなかったらしいな。だからこそメイトギアをはじめとしたロボット群の発展がその負担の多くを吸収してくれたおかげでなんとか切り替えられたとも。


加えて、<人口爆縮>に伴う混乱のどさくさも利用されたとは聞く。その両方が奇跡的に噛み合ったことで制度の更新ができた感じか。


さらには、医療技術の発達によって<介護>そのものが必要なくなっていったのも大きいだろう。


老化抑制処置の効果が切れると急激に老化が進むが、だからといっていきなり認知症を患ったり寝たきりになるわけじゃない。若い頃のように動けなくはなっても、自分のことを自分でする程度の能力は、十分に維持される。


亡くなるまでの数ヶ月から一年くらいか。自分のことさえままならなくなるなんてのは。再生医療も完全な不老不死は実現できてないしな。老化抑制処置さえ、あくまで老化の速度を抑制しているだけで決して<不老>じゃない。だからこそ老化そのものを回復させることはできないんだよ。ゆえに限界があり、体も不自由になっていく。そしてそれによって<死>を受け入れられるようになっていくとも。



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