表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2301/2988

凛編 真っ当な生き方

とは言え、(そう)(かい)はそれこそ、


<二人で一人のボス>


だったわけで。


この若い雄が(そう)(かい)と同じように<二人で一人のボス>をやれるかどうかは分からないものの、これまた俺がとやかく言うことじゃないとは思ってる。


あくまで彼ら次第だ。


彼らとしても正直なところ、そんなに先のことまでは考えられてはいないだろう。あくまで目の前のことに全力を注いでるだけだと思う。


しかもそれは、(ゆう)も同じ。ただただ目の前のことに真剣なだけだろうな。


実に<野生の獣>として真っ当な生き方だ。


さりとて、ピークを大きく過ぎた今の彼には、いくらまだまだ未熟とはいっても血気盛んな若い雄二人を同時に相手するのはさすがに厳しいものがあったようだ。


ここでよくあるフィクションのように、若造二人をあしらってみせれば盛り上がるのかもしれないが、現実はそんなに甘くない。若い雄の方も、不穏な気配は見せつつ今日まで実際の行動に移らなかったのは、力の差を見極めようとしていたからかもしれない。『論理的に』ではなくても、『感覚的に』自分が勝てそうかどうか感じ取れるというのはあるのかもな。


日常的に命のやり取りをしているからこそ。


<正面からの力比べ>


では<年の功>の前に後れを取ったが、本当に単純な体力勝負であれば、むしろ(ゆう)に勝ち目はないのが当たり前か。


それでも、(ゆう)も黙ってやられてはいない。力任せで単調になりがちな若い雄が飛び掛かってきたところに、カウンターで<張り手>というか<掌打>というかが見事に決まる。いや、厳密には<掌底打ち>という感じか。


「ガッッ!?」


思いがけない一撃を食らった若い雄が、声を上げつつ派手に転倒。無様を見せる。


まあ、素人の俺でも分かるくらいに完璧なカウンターになってたからな。そりゃこうもなろう。若い雄がだらしないんじゃなく、(ゆう)が巧みだっただけだ。


こうして、ただ一方的にいいようにやられたりはしないものの、不利そのものを覆せるわけじゃなかった。一人が転倒して大きな隙ができても、もう一人が逆に(ゆう)にできた隙を突いてくる。


背後から組み付いて、膝蹴りを(ゆう)の腰や太腿に叩き込んできた。格闘技における技のような洗練された印象はないが、それこそ素人がなんとなくで繰り出す<技のようなもの>でしかないという印象ではあるが、素の身体能力が高いから、威力は人間(地球人)の格闘家のそれに勝るとも劣らないだろう。そもそも、人間(地球人)だと組み付かれただけで動けなくなってしまうだろうな。


「ガッ! ギッ!」


これには(ゆう)も声を上げてしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ