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凛編 どんな手を使っても

<手首の角度>もそうだが、人体、と言うか<生き物の体>というのは、


<力を十全に発揮できる姿勢>


というものがある。それを外すと、どんなに力があっても十分に活かせないんだ。これはスポーツや格闘技をやってる人間でなくても、それこそ日常の中ででも実感できることだと思う。


それなりに重量がある荷物なんかを持つ時、無意識にでも<姿勢>を作ろうとするだろう? そうじゃなきゃ力が入らなくて上手く持てなかったりするしな。


また、単純に腕の力だけで持とうとすればすぐに疲れてしまったりもする。<筋力>だけに頼っていてはあっという間に力を使い果たしてしまう。


だから、荷物は体そのもので支えて腕の力は補助的に使うんだ。


<手提げ鞄>に入れた状態だと長く持っていられないほどの重量がある荷物でも、<リュック>に入れて背負うと大丈夫だったりもするよな。あれは体そのもので支えるようにしてるからだろうさ。


(ゆう)は、そういうことを理屈として教えられなくても、これまで野生の中で生きてきた経験からなんとなく身に付けられてきたんだろうな。


むしろそういう風に身に付けられない奴は生き延びることができなかったりもするんだろう。


ここまで生き延びて、しかも仮にも<ボス>という役目を果たしてきたからには、その辺りの感覚はしっかりと得てきているのが見て取れる。


ただただ、


<事実上のボスである(りん)の代わりにボスを演じてる単なるお飾り>


ってわけじゃないってことだな。


それがまた頼もしい。伊達に(りん)がパートナーとしてずっと連れ添ってきたわけじゃないのが分かる。


すると、若い雄の方も、


「グウアッッ!!」


一声上げて(ゆう)の手を振りほどいて距離を取り、改めて飛び掛かって行った。


しかも、もう一人の若い雄もいつの間にか(ゆう)の背後に回ってて、死角から迫る。


これまた別に<卑怯>というわけじゃない。野生において<一対一>は、


<正々堂々>


ってことでもないんだ。どんな手を使っても結果を出した方の勝ちなんだよ。


だから俺も、ロボットに(ゆう)の手助けを命じたりもしない。その必要はまだ感じない。命の危険までは伝わってこないしな。


それに、命の危険がある状況なら、(あん)の傍らで待機してる()号機が、


『対処いたしますか?』


と進言してくる。現在のAIはそういう判断もする。できる。あくまで<最終的な決断>は人間が行うというだけだ。


その部分はまだ明け渡していない。


さらに時代が進めばどうなるかは分からないにしても、少なくとも俺が知る限りではそうなんだ。



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