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凛編 家族が基本

とにかく、(りん)はもう<ボスとしての役目>には何の未練もないらしく、毎日をただ子供(孫)達の相手をすることで過ごしている。


対して(ゆう)は、形だけではありつつ<ボスとしての役目>を果たし、今日も群れを率いて狩りに出た。


ただ、この状況について、(あん)(ほう)も、やや嫌気がさしている様子も見られる。明らかにモチベーションが下がってる様子なんだ。


特に(ほう)は、(ろう)に対して思うところがあるらしい。


それと言うのも、(ろう)が本来なら、


<次のボスの最有力候補>


だったはずだしな。なのに、(ろう)も具体的に動く様子も見せず、ボスの座を狙ってるであろう他の若い雄を牽制するような素振りも見せてなかったんだよ。(ほう)はそれがじれったいのかもしれない。


で、狩りに向かう途中、


「ガウッ!」


(ろう)に食って掛かる。だが、ここであんまり騒いでは獲物達が逃げてしまう。だからか、(あん)が、


「グル……ッ!」


低い声で小さく唸って(ほう)を諫める。


この間も、(ゆう)は『我関せず』だった。まあ以前からその辺の小さな諍いに対処するのは(りん)の役目だったしな。相手が母親だからか(ほう)達も素直に言うことを聞いてたし。


だからこの群れは、本当に(りん)達家族が基本であって、そこに、


<他所から紛れ込んだ若いレオン>


が勝手に居候してるような形なのかもなと感じるか。


と言うか、そう考えると(ゆう)の無関心さや(ろう)の消極的な態度も納得できてしまう。


(ゆう)(ろう)も、


『自分達家族だけが残ればいい』


と思ってるってことか?


それが事実か否かはさておき、俺としては彼女達の様子を見守らずにいられない。


で、そんな(りん)達の群れとは対照的に、(そう)(かい)の群れは実に統率が取れた様子で同じく狩りに出掛けていた。今日は(かい)のグループがまず狩りに出る。


十分な大きさの獲物が捕らえられれば、今日は(そう)のグループは狩りには出ない。(そう)(かい)のグループは、基本的に日替わりで狩りに出るんだ。その上で、お互いをフォローし合ってる。どちらかが狩りを失敗しても残った方が成功させることができれば群れ全体が飢えることはないし、もし獲物が小さくて十分な量にならなかったらやはり待機していた方が狩りに出て不足分を補うという感じだな。


両方のグループを合わせると一般的なレオンの群れよりかなり大きな規模になるからこその工夫なんだろう。


俺はそれを頼もしく思ってるし、これで今まで上手くいっていた。


ただ、(そう)(かい)がボスの座を退いた後はどうなるのかは、正直なところ分からないけどな。


なにしろ、(そう)の子供達も(かい)の子供達も、二人に比べるとそこまで『息が合う』印象はないんだよ。



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