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閑話休題 蒼穹と灯

蒼穹(そら)は、アクシーズである。


神河内(かみこうち)連是(れんぜ)とアクシーズの(よう)の娘である<(あかり)>と、久利生(くりう)遥偉(とおい)の間に生まれた子だった。


実年齢はまだ三歳だが、やはり成長が速いため、見た目には七歳から八歳くらいに見えるだろうか。


そんな彼女は、母親に似てとても朗らかで活発だった。母親はクロコディアの(きたる)だが父親は久利生(くりう)という異母兄の未来(みらい)や、母親はビアンカであり父親は同じく久利生(くりう)という異母姉の黎明(れいあ)ともとても仲が良く、いつも一緒に遊んでいた。


ただ、もうすぐ七歳になる未来(みらい)や五歳になったばかりの黎明(れいあ)よりも幼いのもあってか、激しく遊んだ後はまるで電池が切れたように眠ってしまうことがいつもだった。


なお、未来(みらい)は最近では畑仕事を本格的に手伝うようになったこともあってあまり遊べなくなっているが、それについてはケインやイザベラが相手をしてくれているので、困ることはない。


だから、


「ただいま」


「ただいま~」


と、家族揃って夕食を食べるために帰ってきたルコアや未来(みらい)を出迎えることもなく、寝室でぐっすりだった。


そんな彼女のために、母親である(あかり)は生活サイクルを合わせていた。空が明るくなってくると共に蒼穹(そら)が起きると(あかり)も目を覚まし、一緒に顔を洗って歯を磨いて、猪竜(シシ)肉のベーコンとサラダで朝食を済まし、同じく目を覚まして朝食を済ませた黎明(れいあ)と遊び始めると、(あかり)も付き合ってくれた。


このため(あかり)の今の仕事は蒼穹(そら)を見守ることとなっている。これは、お転婆盛りの黎明(れいあ)を娘に持つビアンカも同じ。活発で活動的な蒼穹(そら)黎明(れいあ)から目を離して何かあっては元も子もないので、きちんと<仕事>として成立しているのだ。


(あかり)やビアンカが受け持っていた分の畑仕事については、ロボットが負担してくれている。これ自体が地球人社会でも概ね一般的な在り方だった。老化抑制技術が発達し健康寿命が二百年を超えたことで、育児の期間はそちらに集中するのも当たり前になったのである。


<十年間の育児休業>


も珍しくはなくなっていた。


もっともそれは、


『育児休業などを取っている職員の代わりとしてメイトギアを充てる』


ことができるゆえに成立しているものであるとも言えるだろう。でなければさすがに企業側もここまでの長期間の欠員を容認するのは現実的ではない。


それに、企業側の本音としても、生身の人間を使うよりもメイトギアを使いたいという部分も紛れもなくある。だから育児休業の取得も容易だった。他には、病気療養のための休職も、気兼ねなく取ることができた。


そして連是(れんぜ)も、朋群(ほうむ)人社会においてそれを実現するのを目指している。



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