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閑話休題 ルコアの日常 その10

こうして未来(みらい)と共に一時(いっとき)の休息を取ったルコアは、モニカが用意してくれた昼食も未来(みらい)と共にした。


ただ、用意された昼食の量も、なかなかのボリュームだ。なにしろルコアだけでなく今度は未来(みらい)の分も合わせてなのだから、当然と言えば当然か。


実年齢は六歳でありながら見た目には<高校生くらいの少年>な未来(みらい)も、<クロコディアとしての身体能力>を持ち、それを維持するためには一般的な地球人の高校生を大きく上回る量の食事を摂取するからだ。


まるで<フードファイター>のごとく。


それらを難なくぺろりと平らげたルコアと未来(みらい)は、


「今日はあの辺りまで終わらせるからね」


「分かった。俺も頑張る」


穏やかに朗らかにそう言葉を交わす。


二人にとってはそれが<普通>だった。




日が傾きだした頃、ルコアが告げた辺りまで手入れを終わらせた二人は、


「そろそろ晩ゴハンにしようか」


「うん!」


連れ立って歩き出す。そして、


「ただいま」


「ただいま~」


帰ってきたのは、彼女の自宅じゃなかった。


「おかえり」


声を揃えて迎えてくれた人影。ルコアと同じ褐色の目を持つ女性と男性。しかも女性の方は、巨大なクモの頭に乗っているかのような姿をしていた。男性の方は、地球人とほとんど変わらない姿をしているが。


ビアンカと久利生(くりう)だった。さらに、


「おかえり」


「おか~♡」


ビアンカによく似た少年と、ビアンカに似つつも久利生(くりう)にも確かに似ている少女が。


ケインと黎明(れいあ)だ。共にすっかり大きくなっている。特にケインは、元々母親に瓜二つだったこともあって、ビアンカよりも髪を短く切り揃えている以外は区別がつかないほどに成長していた。


また、黎明(れいあ)の方も、実年齢は五歳になったばかりでありつつ十二~三歳くらいの思春期に差し掛かった年頃の姿に。


もっとも、こちらはまだ、両親と共に暮らす<子供>だが。


とは言え、それは未来(みらい)も同じ。あくまでルコアが一足先に大人の仲間入りを果たしただけだ。


さりとて、<家族>であることは変わりない。ビアンカとも久利生(くりう)とも血は繋がってなくても、確かに彼女は二人の<長女>だった。


そして、夕食は家族揃ってとるのがいつものことだった。


そう、<家族>だ。


大人になって<家>は出ていっても、家族じゃなくなったわけじゃない。誰とも血は繋がっていなくても、紛れもなくルコアはこの家の一員なのだ。


その事実が、彼女の心を支えてくれる。サーペンティアンとしてこの世界に顕現しても、自分が確かに<人間>なのだと教えてくれる。


だからこそルコアは人間でいられるのだろう。



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