ホビットMk-Ⅱ編 子供の触法行為
<子供の触法行為>
を、
『子供のすることだから』
と矮小化して咎めさせないようにするのは、つまり自分の子供がやらかしたことの責任を取りたくないからだろう? 自分が受け持ってる生徒がやらかしたことの責任を取りたくないからだろう?
もしくは、自分もかつてした触法行為について蒸し返されるのが嫌だからか?
俺自身、<子供のすること>について目くじらを立てる必要はないと思ってる。思ってるが、それはあくまで<うっかり>だったり<ついはしゃぎすぎてしまってのこと>だったりの、
<意図しないやらかし>
についてだけの話だ。
<意図的に誰かを傷付けようとした行い>
に関しては、きちんとそれが<許されないもの>であると理解させなきゃいけないと思ってる。
だから、誉のやらかしたことについては、一番迷惑を被ったのが俺だったし、誰かを意図的に傷付けようとしてのことじゃなかったから、怒鳴ったり殴ったりまではしないように自分自身に言い聞かせた。
だが、意図して誰かをイジメようとしたのなら、それについてはなあなあで済ませるつもりはなかった。
もっとも、俺の子供達は、そんなことはしなかったけどな。つい感情が昂って喧嘩のようになってしまったことはあっても、一方的に痛めつけようなんてのはなかったんだよ。
そりゃそうだ。俺もシモーヌも、そんな姿を見せようとはしてこなかったんだから。
<そんな形で自分の鬱憤を晴らそうとする手法>
を学ばせてこなかったんだからな。俺が感情的になってしまいそうな時には、エレクシアがフォローしてくれたし。
まさしくそれが、<家庭に配されたメイトギア>の役目だ。あくまでも人間でしかない親や大人達が自分の感情に振り回されて、
<他者を傷付けてでも自分の気持ちばかりを優先する、過剰な行い>
を子供の前で見せないようにフォローしてくれるんだ。
『自分の気持ちを優先するためなら何をしてもいい』
なんて<悪い見本>を子供に示さないようにな。
『自分の気持ちを優先するためなら何をしてもいい』なんてのは、それこそ<犯罪者の理屈>だろ。
<私刑としての死刑執行を是とする殺人者>
はまさしくその究極だ。通り魔やテロリストは、『自分の気持ちを優先するためなら何をしてもいい』と考えているからこそそんなことができるんだろうしな。
そこまでじゃなくても、<イジメ>だってそういうことだろう? 『ムカついた』とか『嫌な気持ちになった』とか程度の自分の気持ちを優先するために、対象をイジメるんだろうからな。




