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ホビットMk-Ⅱ編 なるべく不満が

地球人社会においては、


『働かざるもの食うべからず』


的な考えが根強くあったよな。


『働かない奴は生きていけなくても仕方ない』


みたいに考えてる奴も少なくなかった。まあ実際、生きていくためには何らかの形で働かなきゃいけないのは事実だ。貨幣制度が成立する以前だって、狩りをしたり木の実や果実を採取したりという形で『働いて』いたしな。それはまさに、


<生きるためにしなきゃいけないこと>


だった。加えて、<社会>ってもんがシステム的に構築されてきて、税金を原資にした<共助>や<互助>の仕組みが確立してくると今度は、


『なんで働きもしない奴を養うために自分が税金を払わなきゃいけないんだ?』


的な不満を持つ者が現れるようになった。


これもまあ、


『働きもしない人間のために自分が払った税金が使われるのは業腹だ』


と感じてしまうのは無理からぬことだろう。


だからこそ、<働けない者>に対する支援のコストは絞られてもきた。そしてメイトギアをはじめとする、


<人間と同等以上の働きを確実にこなすロボット群>


の普及で大幅なコスト削減が成された。加えて、


『ロボットに面倒見てもらってるなら』


という形での心理的な負担減も功を奏し、完全になくなったわけではないものの、それを先鋭化させる者は確実に減ったそうだ。


ここでも、その辺りのセーフティネットについてはなるべく不満が少なくなるように考慮したいと思う。


でなければ、いくら、


<助け合いの精神の尊さ>


を説いたところですんなりと納得はしてくれないさ。そういう人間はそもそも精神的な余裕もないんだろうからな。だから自分以外の誰かが支援されることを妬んでしまうんだろうし。


『妬むな』


じゃなく、 


『妬む必要がない』


ことが重要だ。他者を攻撃することについても、『攻撃する必要がない』ことが求められるし。


『他者を妬む必要がない』


『他者を攻撃する必要がない』


穏やかな社会を実現するためにはそれが必須なんだとつくづく実感させられるよ。


人間以外の<外敵>が当たり前に存在するここで人間同士がいがみ合っててどうする。


しかも、<悪意>を持たない野生の獣達は、必要がなければわざわざ危険を冒してまで人間を襲おうとはしない。


だったら人間だって、


『必要がなければ』


他者を妬んだり攻撃を加えたりしなくて済むはずだよな。


人間の場合、あからさまな<悪意>を持ってしまうこともあるが、それすら<理由>があってのことが多いわけで。


ロボットがそれを防ぐことも可能なのは、地球人社会で実証済みだ。



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