ホビットMk-Ⅱ編 按と伍号機
と、久々に名前が挙がったしせっかくなので、
『按とドーベルマンDK-a伍号機』
『キャサリンとドーベルマンMPM十六号機』
について触れてみようと思う。ルカニディアの少女の方に集中するべきと考えるのもいるかもしれないが、基本的に目立った印象的なイベントが発生するわけじゃないだろうし、淡々と同じような光景が続くだけなのは目に見えてるからな。
で、別のタブレットで、まずは按と伍号機の様子を見てみる。
見てみるが、こちらも以前に触れた時から大きな変化は特にない。野生である以上、それなりに他のレオンやオオカミ竜といった者達との小競り合いはありつつも、桜華や高仁、さらに鈴夏やアンデルセンを軸とした<防衛システム>が確立されたそこでは、按達自身の力を確実に補ってくれていることにより、まさしく<平穏な暮らし>が実現されていた。
按の母親である凛や、隣り合う縄張りを持つ伯父の走や凱はさすがに相応の<老い>を感じさせるものの、深と同じく自堕落で怠惰にさえ見えるほどにのんびりとした毎日を送っていたりもする。
とは言え、実は走と凱の群れでは結構な<変化>も見られるけどな。それについてはまたいずれ詳しく触れることにしよう。
さすがに<ついで>で語るのも気が引けるし。
対して、按がいる群れでは、弟の朗が一時期姿を消していたものの、『巣立って』いたものの、パートナーの雌を連れて戻ってきて、母親であり群れの実質的なボスである凛と、父親であり名目上のボスである侑が受け入れたことで合流。今では子供も生まれて人数も増えた。
ちなみに、按の妹である萌は、走と釈の息子である彪と番って、やはり子を成している。しかも、自分が本来属していた凛と侑の群れと、走や凱の群れとを自由に行き来していたりと、レオンとしてはかなり特異な振る舞いを見せていたりも。
そんな中で、按は伍号機とまるで<番>のように仲睦まじく過ごしていた。
そもそも按自身、<性分化疾患>により、
『雄でも雌でもない』
状態だったため、そもそも普通に子を成せる可能性がほぼないとみられていたのもあって、ロボットと番ったところで特に支障もないんだ。
『子を成せない』
というのは野生の生き物ではそれこそ存在意義そのものを揺るがす<障害>であるとも言えるだろうものの、実際にはそこまで珍しい事例でもないことも分かってきている。そういう個体が生まれること自体が、ある程度の割合で必ずと言っていいほど生じるんだ。




