表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2227/2990

ホビットMk-Ⅱ編 自分の人生を送れる社会

そんなこんなで、今日も<ルカニディアの少女>に熱い?視線を向けられているホビットMk-Ⅱは、しかし淡々と<調査>を行っていた。


まあ正しくは、


<調査を行っているふり>


だが。


もちろん実際に可能な限りの調査も行なってるものの、メインは<ルカニディアの少女の観察>だから、そういう意味ではやっぱり<ふり>だよな。


それにしてもこの感じ、俺が(ひそか)達と出逢った時のことを思い出す。彼女達もすごく慎重だったもんなあ。


今回の彼女はルカニディアだから、(じん)に似ているか。もっとも、(じん)の時のようなヒリ付く危険は感じない。あの時は本当に、


『殺される』


と実感したわけで。結果としては(じん)に<雄>として認められて愛されることになったが、パートナーになってからでも下手をすると食い殺されることだってあるのがマンティアンという種だ。そりゃ<緊張感>なんて生ぬるいものじゃなかったよ。


その点ではルカニディアの少女はまったく違っている。かといって(ひそか)ほど『あざとい』までの可愛げがあるわけでもなく、どちらかと言えば地味な印象だ。


ただそれ自体、俺が<人間>だからそう感じるだけであって、<地味>とか<派手>とかも、彼女達にはなんの関係もないことなんだよな。彼女達はあくまで彼女達の感覚で生きてるだけでしかない。


その事実を俺は受け止める。受け止めて、見守る。


俺が見送った我が子の一人である(めい)の面影を持つ少女をな。


これはどこまでいっても俺個人の想いでしかないから、他人は見てて退屈なだけかもしれない。いや、退屈だろう。俺と同じ感覚でも持てない限りは楽しめなくて当然だと思う。


でもな、


『他人は見てても面白いと思ってくれない』


からって俺が他人に迎合する必要も、別にないだろ? 俺は俺の人生を生きてるんだしな。他人の都合に合わせて生きてるわけじゃないんだしな。


人間として人間の集団の中で生きていく以上は折り合いをつけることは大事でも、他人の顔色ばかり窺ってちゃ、<自分の人生>は送れない。自分以外の誰かにとってのエンターテイメントとして自分の人生を浪費するつもりもないし、その必要もない。


少なくとも俺は、ここに出来ていく人間社会をそんなものにするつもりもないんだ。


誰もが当たり前のこととして自分の人生を送れる社会であってほしいんだよ。こうして俺が、


<我が子の面影を持つルカニディアの少女>


を見守っているだけの時間を過ごす余裕のある社会にしていきたいんだ。


俺自身のためにもな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ