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ホビットMk-Ⅱ編 自分に正直

とにかく、<情報>ってヤツとの付き合い方ってもんをしっかりと理解してもらわないと、精神をすり減らし自暴自棄になった者による<テロ>を誘発することになるからな。


それが分かっていて何も手を打たないのは<怠慢>以外の何ものでもない。


俺は怠慢でそんな不幸を生んでほしくないんだよ。


そういう俺の<想い>を知る由もない<ルカニディアの少女>は、ただただ一瞬一瞬を生き延びているだけだな。


人間が煩わされるような、


<余計な情報>


など、それこそ彼女にとっては、


<取るに足らないノイズ>


に違いない。それでいて、


<自身が生き延びるのに必要な情報>


については、しっかりと確実に取り入れてるんだろうな。


だが、ホビットMk-Ⅱについて彼女がどのように捉えているのかは、正直よく分からない。


もちろん、<得体のしれない怪物>を警戒するのは当然だ。自分にとってどのような危険があるか今の時点では彼女自身も判然としてないだろう。だが、それを上回る好奇心が垣間見られる。


実際、食事を終えたところでホビットMk-Ⅱの姿がちらりと見えると、彼女は気配を消しつつ、するすると近付いて行った。明らかに<警戒>とは異なる行動だ。


それら一連の行動を、旗艦ドローンから放たれたドローンが捉える。


だからホビットMk-Ⅱからは見えていない部分についても確認できたんだ。


で、彼女が近付いてくると、ホビットMk-Ⅱのカメラでもその姿を捉えることができた。気配を消してるから、景色に完全にまぎれてしまって普通に見てただけでは気付けないだろうが、そこは画像処理のおかげで俺にも分かるようになっている。


そんな彼女の姿は、まるで、


<気になる相手を隠れながらじっと見ているヒロイン>


のようですらある。最初の頃よりもさらにあからさまに関心を向けてるのが分かるんだ。


この辺りも、人間のように無駄に情報に振り回されていないから、自分に正直に振る舞えるというのもあるだろう。人間は、


<他者からの評価や視線>


といった情報に惑わされがちな生き物だからな。他人はそこまで自分のことを意識していないにも拘らず、自意識過剰に陥り、それを必要以上に気にしてしまうんだ。これも、


『<他人は自分をそういう風に見ているものだという情報>に惑わされてる』


ってことだな。<思い込み>をするにしても、その基となる情報がなけりゃ思い込むことさえできないし。


それがないからこそ、<ルカニディアの少女>は、自分に正直でいられるんだ。



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