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ホビットMk-Ⅱ編 依存を見せてる人間

<職場に煙草の持ち込みが禁止されているのにも拘わらず持ち込んで、それでうっかり商品に混入させてしまうという事例>


こんな話をすれば、それこそ、


『嫌煙家の陰謀だ! ヤラセだ!』


と声を荒げるのもいるんだろうが、残念ながら俺が聞いた事例じゃ、実際に煙草を商品に混入させた人物も特定されていて、本人も認めていたそうだ。


で、その当人はがっつり<喫煙者>だったと。必ずしも現場で煙草を吸うわけじゃなかったが、


『肌身離さず持っていたい』


という気持ちが抑えきれず、大目に見てもらえてるのをいいことにこっそり胸ポケットに忍ばせていて、それが屈んだ拍子に商品を入れた箱に落ちたというのが真相らしい。


しかも、仕事を終えた後に煙草がなくなっていたことについても黙っていて、騒ぎになって上司に問い詰められてようやく、


『自分かもしれない』


と認めたと。


その銘柄の煙草を吸っていたのは現場では当該人物だけだったそうだし、なくした煙草も他では見付かっていない。


まあこれでもなお、


『嫌煙者がそいつを陥れるために偽装工作したに違いない!』


と主張するのはいるようだ。確かにそういうことも不可能じゃないにしても、


『煙草の持ち込みは禁止されているにも拘らず持ち込んでいて、そして現場でなくした』


という事実は変わらないんだから、それを咎められるのは当然だろう? そもそも持ち込んでいなければそんなことにもならなかったんだしな。なのに不合理な詭弁を並べ立てるのは、


『その事実を認められないのが<煙草依存者>というものだ』


って印象をより強めることにしかならないよな。


改めて言うが、俺は<喫煙者>そのものを否定したいわけでも非難したいわけでもない。あくまで、


『いい歳した大人がダメだと言われてることをやらずにいられなかった』


のがこの話の本質だとしか思わないってだけなんだよ。そして、


『煙草に対してそれほどの依存を見せてる人間もいる』


という話でしかない。


そう、『そういう人間もいる』ってだけだ。自分のことを言われているわけでもないのにムキになるってのは、<心当たり>があるからじゃないのか? <図星>だと感じてしまうからじゃないのか? 違うなら聞き流せば済む話のはずだよな。


加えてこれは、<煙草>に限った話じゃない。<携帯端末>の持ち込みが禁止されている場所であっても持ち込まずにいられない、使わずにいられない、そういう<依存>を自分じゃどうすることもできないのがいるって話でもある。


こうして思い切り話が脱線してしまうのをやめられない俺もあんまり他人のことは言えないしな。



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