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ホビットMk-Ⅱ編 薬効

ここの自然は、本当に豊かだ。人間が人間として生きていくのに必要なものがほとんど揃っている。


特に<生物資源>としては、地球で手に入るものとほぼ同等の種類と質がすでに確認できてるんだよな。


これは本当に大きい。


もちろん、六十世紀の地球人社会では必須になっていた資源の一部は、ごくごく限られた資源惑星でしか手に入らないものだったことで、ここでは現時点では発見できていないし、おそらく存在自体しないんだろうなとは覚悟している。


それに、もし存在したとしても利用するために必要な設備がそもそも作れる段階にないから、おそらく俺が生きてる間はそのレベルに達することは事実上不可能だろう。


とは言え、<医療用ナノマシン>を別に考えても、少なくとも二十一世紀頃の医療レベルは確保できているんだ。<風邪薬>に<頭痛薬>に<鎮痛剤>に<抗生物質>もある。だからその点ではもう大きな不安もない。<老化抑制処置>については再現できる目途はまったく立たないものの、そこまで期待するのはむしろ、


『高望みしすぎ』


ってものだろうさ。


それどころか、<向精神薬>や<大麻>や<麻薬>さえあるぞ。


もっとも、大麻や麻薬についても、あくまで<薬効>を利用する形だけどな。これは地球人社会でも同じだった。


もちろん、厳重に管理されて本来の<薬>として以外の利用は厳しく制限されてる。<大麻>などは、その薬効を理由に解禁することを求める人間もいたが、大麻が持つ薬効については他に同等以上の効果を持つものがあるから、解禁する意味もなかったそうだ。


単なる<嗜好品>として求めてるだけなのを薬効を言い訳にしてるのを見透かされた上に、他に安全かつより効果が確実なものがあったことで結局は解禁しなかった国も多かっただけじゃなく、一度は解禁した国でも再び禁止に転じたところもあったとさえ聞くな。


そもそも、


<そんなものの薬効に頼らなければいけないような状況>


の方をまず改善するのが先だろう? そこを論じることさえせず、


『解禁ありき』


でただのこじつけのような詭弁を並べているだけの自分達の姿にさえ気付かないというその様子が、根本的に大麻に興味を持たない人間達の不信感を煽り、支持を得られなかったというのが大きかったみたいだし。


要するに、


『自分で自分の首を絞めた』


わけだな。


加えて俺達には、そんなものの<効能>に頼らなければいけない理由が最初からないんだ。


だからあくまで<ただの植物の一種>としての関心しかないわけで。



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