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ホビットMk-Ⅱ編 自分が反発してる相手

そんなこんなで、いよいよ<(おさ)>が出張ってくるまでの騒ぎになり、これにはさすがに双方のホビットMk-Ⅱも冷や水を浴びせられた形になった。


だからこそこうやって、


<抑え付ける役目の者>


が必要なんだと考えるのもいるだろうが、ただ、


「……」


「……」


どちらも視線を逸らし、明らかに不満そうな様子を見せてもいる。<表情>を作れる仕様にはしてないんだが、不思議とそう見えるんだよな。これも、


『見ている人間の側が勝手にそう解釈してるだけ』


なのは事実でありつつ、実際にそう見えるんだから、ここはまあそういうことにしておこう。


とは言え、ホビットサンク村は小さな集落だからこそ、<(おさ)>とも普段から顔を合わし言葉も交わす間柄ゆえに、


<自身の家の境界を侵されたホビットMk-Ⅱ>


も、


<花を育てるホビットMk-Ⅱを擁護しているホビットMk-Ⅱ>


も、強く反抗的な態度に出られない、出にくい、というのは確かにあると思う。これが、


<別に個人的には知り合いでも何でもない行政の長>


がいきなり現れて仲裁しようとしても、こうはいかないだろうな。相手が、


<行政の長という肩書を持つ者>


であることに特別な意味を見出す人間にはそれなりに影響力があっても、そういうことに妙に反発心を見せる人間も現にいるし、すんなりと収まってはくれないと思う。


それも承知しつつ、しかし現状では、


<全員がほとんど家族同然の顔見知りという小さな集落>


であるホビットサンク村であれば、(おさ)の登場は、それなりの効果を発揮した。


これ自体が、


『諫めてくる相手が誰かによって効果が異なってくる』


という事実を表してるだろうな。その効果が薄い者がいくらあれこれ言ってきても引かない奴は引かないってのも、よくある話だろう?


ネット上での諍いを誰かが仲裁しようとしてもなかなか収まらないのも、それだろうさ。特に、全員が<匿名>だったら、諫めようとしてきてる相手がどこの誰かも分からないわけで。


たとえネットの外では、<面と向かっては逆らえない上司>とか<尊敬している相手>であっても、匿名というフィルターを通せば、


<見ず知らずの赤の他人>


になってしまうしなあ。


しかし逆に考えれば、


『自分が反発してる相手はもしかしたら……?』


と想像できれば、感情を抑えることもできるんじゃないか? 思えば地球人社会で暮らしてた頃の俺も、そう考えるようにしていたな。だからネットとかで傍若無人に振る舞うことを抑えられてた気がする。



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