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ホビットMk-Ⅱ編 集団をまとめる立場の者

なんてことをいつものように俺が考えてる中、ホビットMk-Ⅱ達の<諍い>は、なおも続いていた。


取り敢えず<直接の衝突>は周囲の介入によって抑えられているが、


「フザケンナ! サイショニゲンインヲツクッタノハアイツダ!」


「ダカラッテ、ハナニヤツアタリスンナ!」


等々、双方共に収まらない。そこに、


「オチツキナサイ、オマエタチ」


抑えたトーンながらどこか威圧感さえ察せられる言い方で声を掛けながらそこに現れたのは、


(おさ)


だった。


<ホビットサンク村の(おさ)


だ。人間の集団にはそれをまとめる立場の者が必要になるからな。その役割を持つホビットMk-Ⅱも当然ながら配置してる。


とは言え、どうしてそんなのが必要なのかと考えるに、結局は<心>や<感情>を持つからだろうなというのを改めて感じるな。


なにしろ、本来ならホビットMk-Ⅱにそんな役割の機体は必要ないんだ。そもそも、


『機体は別々でも、メインサーバーとしての役割を持つAIが全体を制御している』


以上は、


<全体で一体のロボット>


なわけだしな。本来は<メインサーバーとしての役割を持つAI>こそが(おさ)としての役割を持つ、と言うよりはそれがいわば<脳>であり、それぞれの機体はあくまでも<体の一部>でしかないから、この役割分担はおかしいんだ。


が、そこはシミュレーションだから敢えてこういう役割分担を行ってる形ではある。


で、その<(おさ)としての役割を持つホビットMk-Ⅱ>が、


「オマエタチノフルマイハ、コノムラノヘイオンヲミダスモノダ。トウテイユルサレルモノデハナイ」


威厳たっぷりにそう告げて、


「ソノウエデ、ソウホウノイイブンヲ、キコウ」


と発言した。


結果として(おさ)の権限で裁定を下すことになるとしても、まずはそれぞれの言い分を聴かないと収まりも付かないだろうしな。


かつては地球人社会でも、小さな集団においてこういう役割を持つ者がいて、それが話を聞いてくれたりもしたらしいな。しかし、<個人主義>が広まっていくにつれ横の繋がりが希薄になり、こういう役割も成立しなくなり、結果、不満を持つ者は直接その対象に鬱憤をぶつけることになったとも。


これがいわゆる、


<モンスターペアレント>


や、


<モンスタークレーマー>


の存在を大きくしたとも言われているらしい。つまり、<不満の聞き役>がいなくなったことで、『ガス抜き』ができなくなったってわけだろうな。ゆえに感情が昂った状態のままそれを対象にいきなりぶつけるから、面倒なことになる、と。



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