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ホビットMk-Ⅱ編 きちんと機能するかどうかを

まあもっとも、ボクサー竜(ボクサー)が相手じゃ、ホビットMk-Ⅱにとっては何の危険もないけどな。万が一、破壊されるようなことがあっても、修理すればことは済む。


だからこその<シミュレーション>でもある。


しかしその上で、


『<遊びに夢中になって、危険な状態に陥ってしまった子供>を保護する』


という対応がすぐに行えるような備えを用意しておく。それがきちんと機能するかどうかを確認するんだ。


そして、<遊びに夢中になって、危険な状態に陥ってしまった子供>を保護するために、その役目を負ったホビットMk-Ⅱがすぐさま駆け付け、ボクサー竜(ボクサー)との間に割って入った。


入ったが、その時点ではすでに、ボクサー竜(ボクサー)方が逃げ出していた。


向こうにしてみれば<怪物>が自分達の前に飛び出してきたようなものだからな。それなりに関心があって、監視の目的もあって様子を窺っていたんだろうが、近付いてこられたらそりゃ逃げるさ。


とは言え、


<遊びに夢中になって、危険な状態に陥ってしまった子供を迅速に保護する体制>


自体はしっかりと機能してることがこれで確認できた。これはあくまでただのシミュレーションであっても、今後もランダムに<イベント>を発生させて、十全に機能しているかどうかを改めて確認していこうと思う。


で、<母親役のホビットMk-Ⅱ>が駆けつけて、


「ナニシテルノ! バカ!」


と、<子供役のホビットMk-Ⅱ>を叱り飛ばす。


「マアマア、オカアサン。コドモハアソビニムチュウニナルト、マワリガミエナクナルモノデスカラ」


<子供役のホビットMk-Ⅱを保護したホビットMk-Ⅱ>が、<母親役のホビットMk-Ⅱ>をなだめる。


子供を心配するのは親としては当然かもしれないが、だからといってなにをしてもいいというわけじゃない。


『理由さえあれば何をしてもいい』


という考えは、容易く人間の<タガ>を外してしまうものだというのもすでに確認されている。それを裏付ける事例など、あまりにも多くて『枚挙の暇もない』どころの騒ぎじゃない。


さりとて、ここで子供を案じている親にそれを説いても反発されるだけなのも分かっているので、そんなことはしない。あくまでなだめるだけにとどめる。


この一連の流れも、すべては<シミュレーション>にすぎない。人間の目にはそれこそ<心>があるように見えても、母親役のホビットMk-Ⅱも、


『子供のことを心配するあまり、頭に血が上ってしまっている』


わけじゃない。


そういう<身体的な反応>は、生じないんだ。



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