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子供達の日常 その9

イレーネLJ10のことも詳しく触れてやりたいが、まずは子供達のことに触れてからにしようと思う。


で、今回は(しょう)についてかな。


(しょう)は、何度も言ってるように(ふく)の息子の(かい)と仲が良かった。あまりに乱暴な関わり方だったから最初は何度も肝を冷やしたが、今から考えればちゃんと手加減はしてたんだろう。もっとも、人間社会でなら怪我をさせた時点でアウトだったけどな。


児童相談所に暴行傷害の非行事実で通告されて補導されて、場合によっては少年院送致なんてこともないとは言えないくらいに何度も怪我をさせてたし。


もっとも、あの頃の(しょう)は人間で言うと十六歳未満だっただろうからそこまではいかなかった筈だが。人間の健康寿命が二百歳を超えた今は、十六歳未満は刑事責任を問えないことになってるし。ただしその代わり、親はしっかり責任を問われることになる。


(しょう)の件でなら、監督不行き届きということで半年は<指導>を食らうところだっただろう。


<指導>というのは、<教育的指導>のことで、親として未熟だと判断されると、児童心理や具体的な非行事例についての対処方法などについて文字通り指導されるんだ。<子供ができただけで親になれる>訳じゃないからな。


それに今では百二十歳を超えても自然妊娠が可能だし、百歳超えてから親になる者も普通だ。何しろ<結婚適齢期>とか呼ばれるものが、三十から百二十までと、それ自体が九十年もある。そのうちの二十年や三十年を子育てに費やしたところで、<自分の人生>を謳歌する時間はたっぷりあるしな。


健康寿命が六十とかそこらだった頃はいちいち親としての教育や指導を行ってこなかったらしいが、正直、それでよく親が務まったなっていう印象はある。親としてどうあるべきかなんてのを学んでもいない人間が本当に親になんてなれたのか?というのが今の人間の感覚かな。


実際、子殺しなんて事件が多かったそうじゃないか。今じゃそんなことは数年に一回程度で、あればそれこそ大きな騒ぎになる。自分が追い詰められて自制できないようならメイトギアに任せるなり支援施設を頼るなりっていう具体的な対処法がいくつもあるからなあ。


そういう意味では俺も親としての教育は受けなかった訳だが、学校でも概要程度ならある程度は触れるし、よっぽど社会制度が杜撰なところでもない限り親による子の虐待なんて放置されないんだよな。まあ、植民惑星によっては環境が厳しくてそこまでの余裕がないところもいまだにあるとは聞いてるが。


それでも俺の生まれ育った惑星でも年間十数件の殺人事件はあったそうだから、人間ってのはそれだけ業の深い生き物なんだろうなとは思うな。


って、(しょう)の話をしていたはずが何でこうなった?


まあいい。(しょう)(よう)に似て気が向かないとまったく近寄っても来ないくらいに気まぐれな一面もあったし、特にそれなりに年頃になってからはそれこそ俺のことを見ようともしてくれなかった。


まさに<年頃の娘>ってやつの難しさを教えてもらった気がするよ。



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