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丈編 再会

『AIやロボットに心を見出してしまう人間には申し訳ないが、そんなものは存在しないし、そういう仕様にはなってないってのは厳然たる事実だ』


というのを前提として、ホビットMk-Ⅱ達の様子を詳細に見ていこうと思う。




その日、ホビットMk-Ⅱの一機が<畑>を作るために開墾作業をしていた時、巣から落ちた鳥のヒナを発見した。


そう言うと、あんずとますらおがそれぞれ拾った鳥のヒナのことを思い出す。


あんずが拾ったヒナは結局助けられなかったが、ますらおが拾ったヒナは無事に巣に戻すことができ、結果、そのヒナも立派に育って巣立っていった。その後はもうどうしているかも分からなかった。生き延びて(つが)って子を成したかもしれないし、どこかで天敵に捕食されてしまったかもしれない。


と覚悟していた。


助けたのに『天敵に捕食される』なんて結末を迎えるなんて考えたくもないが、これまたここじゃそれ自体が<当たり前の日常>だからな。


そして今回も、どんな結果になろうと受け止めなきゃいけないと思いつつ、その様子を見守ることに。


で、まずは巣に戻すことを試みる。


が、親鳥の方は、常にどちらかが巣の近くに残って警戒していて、近付けない。


と、そんな親鳥の様子を注意深く観察していると、


「雌の方は、かつてますらおが保護した個体である可能性が高いですね」


エレクシアが告げる。当時の情報を残し、詳細に解析することができるロボットならではのそれだった。あの時のヒナの身体的特徴と照らし合わせたことで、九十五パーセント以上の確率で同一個体だと判明したんだ。


「マジか……!?」


俺は思わず声を上げてしまった。生き延びていたこと自体はそれほど驚かなかったもののまさかこんな形で再会するなんてのは、どんな確率なんだか。


いや、ゼロじゃないことは分かってるよ。分かってるが、なあ。


しかし、あの時のヒナは巣に戻ることができたからこそ普通に生きられた。それがこの再会に繋がった。繋がったんだが、そんなヒナが親鳥になって、その子供が再びこうして巣から落ちてロボットに保護される確率って……


とはいえ、現にそうなってしまったんだから仕方ない。仕方ないんだが、親鳥は巣に戻れたというのに、その子供は巣に戻れそうになかった。元々、その鳥は、親鳥のどちらかが常に巣に残ってヒナを守ろうとする習性があるから、親鳥としてはそれにしっかりと従ってるんだよ。


人間がそれを見ると、


『自分が巣から落ちてしまったからそうならないように気を付けてるのかも?』


的な解釈を加えてしまったりするかもしれないな。



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