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子供達の日常 その8

「正確なことはこの映像だけでは断言できませんが、特徴が九十二パーセント一致しますので、恐らくイレーネLJ10だと思われます。イレーネLJ10だとすれば間違いなくコーネリアス号に搭載されていたメイトギアです。彼女はコーネリアス号にて運用される為に設計されたワンオフモデルですので」


家事をしていたセシリアにも映像を受信してもらって確認してもらったところ、そういう返答が返ってきた。


「状況から推察するに、イレーネLJ10と思しき当該メイトギアは、この巨大生物に捕食されたままで機能停止し、その後、巨大生物も死亡。死体が朽ちて現在に至ったものと思われます」


というエレクシアの解説に、俺は「そうか…」と呟くしかできなかった。


それからシモーヌにも映像を見てもらうと、彼女も悲しそうな顔をしながら、


「イレーネ……」


と、自らの口を手で覆った。


まさか未帰還の八体のメイトギアのうちの一体がこんな形で発見されるとは夢にも思わなかった。


「ドローンを介してあらゆるチャンネルで信号を送ってみましたが、まったく反応がありません。スリープ状態でも待機状態でもなく、完全に機能停止しています。恐らく復旧は無理でしょう」


エレクシアが淡々と応える。彼女がそう言うのなら、そうなんだろう。だがせっかく発見できたので、ちょうど(ほまれ)がいる群れの縄張りにも重なっていたし(正確には、グンタイ竜(グンタイ)に襲われて全滅した群れの縄張りだったものを吸収したことで縄張りの一部となった)、メイフェアに頼んで回収してもらった。


ミイラ化した巨大生物の体組織に覆われていたのを剥がして現れたのは、間違いなくメイトギアだった。見た目には大きな損傷は少なかったものの、やはり起動スイッチを押しても反応はなく、完全に壊れているのが確認された。


「お疲れ様。イレーネ」


例の蔓から溢れ出る水で大まかな洗浄を行いつつ、メイフェアがそう声を掛ける。ようやく再会できた<仲間>を労わっているんだ。


その後、(ほまれ)についてきてもらって俺の<縄張り>近くまでイレーネを運んでもらい、セシリアもイレーネと再会を果たしたのだった。


なお、留守中に自分の<住居>を荒らされた形になった(かく)は、何やら怒ってる風だったが。


すまん。勝手させてもらった。


どうやら、イレーネがうずくまってたでっぱりの部分がちょうど背中を預けて寛ぐのにちょうどよかったらしい。なので、再度メイフェアに頼んで、(かく)の留守中に土で同じ形を再現してもらった。彼女はロボットで形状とかを正確に記録してるからな。


いつの間にか同じように戻ってたことを(かく)は不思議がってたようだが、(めい)を自分の<家>に招いて今はまた寛いでるようだ。


もっとも、(めい)にしてみれば、自分の与り知らないことで(かく)の機嫌が悪くなってたりすぐまた直ったりと、何のことだかさっぱりだっただろうけどね。



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