表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2139/2990

丈編 矛盾がなくなったらそれがむしろ異常

ホビットサンク村で<集落の住人>を演じているホビットMk-Ⅱ達の普段の姿を見ていても、妙に人間臭い振る舞いをしてるのが見受けられる。


というのも、巣から落ちた鳥のヒナを保護して育てたり、花を育てたりしてるのも出てきたんだ。


人間はそういうホビットMk-Ⅱらの様子を見て、そこに<心>を感じてしまうだろうな。


だが何度も言うように、それは決して<心>じゃないんだ。ホビットサンク村のホビットMk-Ⅱ達は、


『人間を演じてる』


だけでしかない。それによってシミュレーションを行ってるんだ。ここで人間が生きていくために必要なものを探るのを目的としたシミュレーションをな。


だからって別に、


『人工的に作られたAIやロボットに心が生じることは決してない』


と言いたいわけじゃない。いつかもしかしたらそういうこともあったりするかもしれない。それか、地球人以外の知的生命体が作り出したAIやロボットには心を獲得した者もいたかもしれない。


でもな、現状の地球人社会製のAIやロボットにはそれはないんだよ。


確かに、


『<人間の思考>も所詮は電気信号でしかない』


と言われたりもしてるが、だが人間の思考ってのは単純な電気信号だけじゃないのは事実のはずだよな。


<脳内物質による化学反応>


が極小レベルで常に起こっていて、それらが<気分>とかいう形で現れたりするんだろう? いや、脳内だけじゃないな。何か心配事や悲しいことがあったりすると胸が詰まるような感覚があったりしないか? 頭が痛くなったり眩暈がしたりすることはないか? それも含めて、


<情動>


ってもんじゃないのか? そういう時、人間の体の中では電気信号だけが飛び交ってるのか? <ホルモン>と呼ばれる化学物質が複雑な化学反応を生じさせてたりするんじゃないのか?


対してAIやロボットのそれは、どれほど高度になっても今の時点ではあくまで、


『0か1か』


なんだよ。<スイッチのオンオフ>でしかない。それがとんでもない密度で行われてるから人間の感覚ではもはやピンとこないレベルになってるってだけで、


『オンでもオフでもない』


という状態は存在しないんだ。もしくは、


『他の部分のオンオフと矛盾するようなスイッチの挙動は成立しない』


と言えばいいのか。もしそんなことが起これば途端にAIやロボットは機能を失う。平たく言えば、


『壊れる』


だな。だが人間は、矛盾を抱えた状態が<本来の状態>なんだ。逆に、


『矛盾がなくなったらそれがむしろ異常』


なんだよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ