丈編 フィクションすら成立しない
<ロボット兵器で途轍もない被害を出しながら互いの主張を一方的に相手に押し付けようとして争ってるっていうフィクション>
これは、<ロボット>というものがフィクションに登場し始め頃からそれこそ当たり前のジャンルとして存在してたものだよな。そのロボット兵器も、<人型>とは限らないし、そもそも<宇宙戦艦>と呼ばれるようなものであっても、制御の大部分についてAIが行ってただろうから、まあその種の<戦争もの><バトルもの>に登場する兵器などにはすべてAIが搭載されていたと考えてもいいのかもな。
実際、宇宙船の制御は人力だけじゃ事実上不可能だそうだし。何しろ人間(サイボーグも含めて)じゃ中に入れない機関部についても高度な制御が必要なわけで。
いわゆる<コンピューター>が発明される以前はすべて人力で制御できるものしか存在しなかったわけだが、それで宇宙に飛び出そうなんてのはただの<自殺>だろうしなあ。
帰還することを考えていない使い捨てのロケットですら、コンピューターすら使わず宇宙に打ち上げるなんてこともできないそうだし。
そして、たとえ宇宙に出なくても、ロボット兵器なんてものの制御は人力だけじゃ行えないしな。
だから、AIやAIに準じたものを利用した高度な制御システムの存在なしじゃそんなフィクションすら成立しないと。そのための道具としてAIやAIに準じたものが存在してるのが前提だろうさ。まあ、<魔法>とかが存在する世界観ならまた別かもしれないにしても。
いずれにせよ、AIやAIに準じたものがどこまでも人間の言いなりになって協力してくれないと、前提そのものが成り立たないだろ? 今の地球人の世界はまさしくそれなんだよ。AIはただ人間の言いなりになって協力するだけの存在じゃないんだ。どこまでも<道具>ではありつつ、<人間と対等とは言えない立場>ではありつつ、同時に<第三者的立場を有した存在>でもあるってことだ。
なにしろ本当に<AIの反乱>が起こったりすれば今の地球人なんてそれこそ何もできないまま降伏するしかないわけで。
だいたい、
<人間が人間として生きていける環境>
そのものがAI頼みで成立してるんだ。AIにそっぽを向かれたら、裸で自然の中に放り出されるのと同じだぞ? そんな状態でどうにかできる人間なんて、どれだけいるっていうんだ。ゼロではないにしても、そいつらだけじゃ文明を成立させることさえままならないだろうな。




