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子供達の日常 その5

(ほむら)(さい)(あらた)(りん)については長い目で見守っていくことにして、とにかく(ほまれ)のことに触れるとしよう。


と言っても、あいつはもう立派に一人前のボノボ人間(パパニアン)として群れでも活躍してるんだから、まあその辺について触れることにしようかな。


もちろんメイフェアは相変わらず(ほまれ)に付き従ってる。無線給電機を配置して、群れの縄張り内ならどこにいても常に充電できるようになったことで、何も心配することなく(ほまれ)の傍にいることができた。


が、当の(ほまれ)自身が既に彼女の庇護を必要としてないという事情もあり、ただただあいつの日常を見守り記録するだけの毎日を送ってる状態だけどな。


で、今回はそんなメイフェアが記録した(ほまれ)の一日を紹介する。


ボノボ人間(パパニアン)は基本的に昼行性だが、さすがに朝は早い。夜が明けると同時に一日が始まる。


朝はまず、手分けして縄張りの偵察らしい。若い雄が二~三人の小集団を組んで偵察に出る。もちろん(ほまれ)もそれが仕事だ。しかし既に何人かの<部下>がいるらしく、それを引き連れての偵察だった。


そのついでに餌を確保する。果実や小動物を採り、偵察を終えると同時に群れに戻り、ボスや雌に餌を渡す。(ほまれ)達若い雄は既に偵察中に食事を済ませるから完全にボスと雌の為に持ち帰ってる訳だ。


この群れのボスは、厳めしい顔をしたけっこう高齢と思しきボスだった。ただし、見た目に反して目力が強く精力は旺盛、力も強いようだ。ボスとしての威厳は十分にある。だからまだしばらくボスの交代劇はないんじゃないだろうか。


(ほまれ)を含む若い雄達も虎視眈々とボスの座を狙ってるようだが、なかなか。


そんな若い雄の中でも、特に体も大きくて力も強そうで、いかにもな感じのが、ちょくちょく実際にボスに戦いを挑んだりするものの、どうにも老獪なボスには力だけでなく知恵の面でも及ばないのか、毎回、退けられてる状態だった。


そんな時、(ほまれ)はどうしてるかと言うと、ただじっと、ボスと若い雄の勝負を見守っているだけだった。だがその目は鋭く光を放ち、まるでボスの戦いっぷりを分析しようとしてるかのような雰囲気がある。


小さい頃はとにかくやんちゃで無鉄砲で向こう見ずなところのあったあいつの面差しはもうない。そこにいたのは、抜け目なく自然を生き抜こうとしてる野生の獣って感じだったな。


だからもう、俺が気に掛ける必要もないんだと思う。たまに近くに偵察に来たりした時に姿を見せてくれるだけで満足するべきなんだろう。


(ほまれ)、お前は本当に立派になったよ。


父親である俺とは似ても似つかないくらいに立派に力強く生きてると思う。



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