表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/2978

一日の始まり(既に日常だな)

「あぁ~、あぅあ~」


その日、(ひそか)は朝から落ち着かなかった。しかも何となく不機嫌なのが俺にも分かった。その様子に気付いた俺の頭にピンと閃くものがあった。


「ひょっとして、排卵、か?」


呟いた俺にエレクシアが応える。


「恐らくそうでしょう。微量ですが出血が見られます」


と言われて思わず(ひそか)の股間を見ると、確かに赤くなっていた。それも、鮮血の赤さというよりも、やや黒ずんだ感じの。


俺も女性を知らない訳じゃないから何度も見たことだが、やはり(ひそか)もそうだったのか。すると彼女は、シャワールームのスイッチを押し、勝手にシャワールームに入ってしまった。簡易テントのところに作ったシャワーだけでなく宇宙船の居住スペースのシャワールームも使わせていたのだが、いつの間にか使い方を学習してしまったらしい。


見ると、シャワーで自分の股間を洗っているのが分かった。


「恐らく臭いが気になるのでしょう。血の臭いは肉食獣だけでなく危険な昆虫をおびき寄せたりするでしょうから、それを防ぎたいのだと思われます」


確かにそういうのは野生の動物にとっては命に係わることだからな。しかし、すっかりここでの生活にも慣れてしまったなあ。


一方、(じん)はと見ると、いつもの位置に座ったままこちらに視線を向けてはいるが、特に何かしようとはしていなかった。(ひそか)に対して嫉妬したりするくらいだから昆虫と違って精神活動はあるんだろうが、表情が乏しいせいで細かいところまではなかなか読み取れない。


とは言え、割と大人しくしてるし、狩りに出るのもだいたい決まった時間だから、何だかんだと気分で不規則に動き回る(ひそか)よりもむしろ扱いやすい一面もあるんだよな。


なんてことを思ってると、狩りに出る時間になったらしく、(じん)も動き出して出入り口の方へと向かって行った。だが、出入り口にまで来ても勝手に開けて出て行こうとはしない。


「ドアを開けてやってくれ」


俺が命じるとエレクシアがドアを開ける。すると(じん)はするりと外へ歩み出ていってしまった。


シャワーを浴びていた(ひそか)はと言えば、これも学習したのだろう自分で棚からタオルを取り出して濡れた体を拭いていた。こうしてみると本当に小さい子供のようだな。


さりとてさすがに使ったタオルを洗濯機に入れるということまではまだできなかった。その辺りまでできるようになってくれると助かるんだが。


なんにせよそれでまた外の簡易テントのところに移動して、今日も一日が始まるのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ