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呼称(今さらだが)

と、(あかり)が生まれてうちがほっこりムードになってる裏側で、実は、さらにもう一つの命が生まれようとしていた。前にも言ったが、(せん)(かい)の子を宿したらしいのだ。


群れのボスは一応、(そう)ということになっていた筈だが、(そう)より先に(かい)の子が生まれてしまった場合、この群れはいったいどうなるのか、俺は少し気になっていた。それはシモーヌも同じようで、


「セシリアとメイフェアがメンテナンスを受けに行くときは私もついて行って、(そう)くんと(かい)くんの様子を見てきます」


と意気込んでいた。


彼女自身、研究者という一面もあるからか、そういう意味での関心も芽生え始めてるのかもしれない。


ちなみに彼女の専門は、植物学である。と言っても、生き物全般、割と興味はあるらしい。微生物についてもそれなりに造詣が深いそうで、この惑星の植物や微生物について調べ始めたようだ。


俺は、知識の点ではさっぱりで、分析は機械任せ、解説はエレクシア任せだったから、ひょっとするといろいろ詳しいことが分かってくるかもしれない。しかも、俺の宇宙船の中にあったデータは、さすがに二千年分のアドバンテージがあるからか、シモーヌでさえ知らないものがあって、彼女はそれについても熱心に勉強していた。その姿はさすが研究者だな。


で、彼女は、俺に遠慮して口でははっきりと言わなかったんだが、以前から俺のネーミングセンスの無さが気になっていたらしい。


と言うのも、以前から、俺がこの惑星の生き物について説明してた時に、ボノボ人間だのカマキリ人間だのライオン人間だのタカ人間だの言う度に微妙な表情をすることがあったのだ。


俺も薄々、察してはいたよ。自分にネーミングセンスがないことは昔から分かってたし、だから宇宙船にも名前は付けなかったんだ。内心では<光莉(ひかり)号>と、妹の名前にちなんだもので呼んでたりもしたが、実際に口にしたことはない。さすがに恥ずかしかったからだ。


しかしなあ、いまさらそう言われても、<〇〇人間>って呼び方でずっとやってきたからなあ。


でも、参考までにもし自分が名付けるとしたらどんな名にするか、訊いてみたりもした。


「そうですね、学名のパン・パニーシャスからパパニアンとかでしょうか?」


…う~ん。<ボノボ人間>よりはマシな気もするが、何気に微妙な気もしないでもない……


「じゃあ、カマキリ人間は?」


「学名がマントディアですから、マンティアン…?」


「ライオン人間」


「レオン?」


「タカ人間」


「タカ科を意味するアクシピトリダイからだと長すぎるからアクシーズとかどうでしょう?」



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