見守り（走と凱が遊んでるからな）
今回、シモーヌがコーネリアス号に＜里帰り＞するついでに、備え付けられていた電磁調理器と洗濯機を持って帰ることになっている。新たに建てた彼女の＜家＞に設置する為だ。シモーヌはあくまで＜隣人＞という扱いになるので、生活そのものは俺達とは切り離すことになった。
とは言え、実際には殆ど家族同然の付き合いにはなるだろうけどな。子供達は俺の縄張りの中で暮らすかぎりは区別も付けられないだろうし。光や焔や新、走や凱だけでなく、凛や彩もシモーヌに懐いていた。翔と丈は若干距離を置いているかのような様子を見せているが、少なくとも敵だとは思っていないようなのでまあいいだろう。
力や悠も、馴れ合うつもりはないようだが強く警戒はしていない。
慎重に慣らしていったことが功を奏したのか、基本的な関係は概ね良好だと思われる。
それでも、＜人間＞としては互いのプライバシーといったものも意識しない訳にはいかず、故にこういう形をとるということだ。特に彼女は女性だからな。メイクを落とした透明な体を俺の前に晒すのもあまり望んでいないだろうし。
もしこれが恋人や家族だったら俺は気にしない。だらしない恰好をしていたりしてもだ。しかし現にそうじゃない以上は節度を保ちたいとも思う。
せっかくの＜人間の隣人＞なんだから、大切にしたいんだ。
メイフェアとセシリアのメンテナンス及び、コーネリアス号のプラント内で栽培している野菜の収穫、電磁調理器と洗濯機の積み込み、その他、工作室で作っていた諸々の生活物資の積み込み等を行っている間、走と凱は草原で遊んでいる。ライオン人間にとっての本来の生息環境を忘れないようにする為だ。同時に、他のライオン人間との接触を図り、いずれ来る巣立ちに備える。
密林に暮らすヒョウ人間の弦と仲良くなってほぼほぼカップルになってしまった深はまあ仕方ないとしても、なるべくは本来の姿に戻してあげたいからな。
走と凱もまだ完全にコーネリアス号から離れてしまわないのでそれほど心配要らないだろうが、念の為、ドローンを付けて見守っている。コーネリアス号に装備されていた方のドローンは俺が使っているものよりは若干大きいが機能そのものに大きな差はなく、何より、メイフェアやセシリアとも規格が合わせて作られているので完全なリンクができて、彼女らの目や耳として機能するのだ。
だからメンテナンスを受けている最中でも、ちゃんと見守ってくれているという訳だ。
