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事情説明(彼女にとっては大変なことだろうな)

目覚めた秋嶋(あきしま)シモーヌのためにと、セシリアとメイフェアはコーネリアス号にメンテナンスを受けに行った際、病院着や衣服やギプスや薬品諸々を一緒に持ち帰っていた。腕にギプスを付けるから普通の服は着られないので、袖や肩の部分が前後に開くタイプの病院着を着てもらうことになった。もちろん下には下着も着ける。


ギプスは、樹脂製のカバーの中にバルーンが付いていて、空気を送り込んでそれを膨らませて患部を固定する汎用タイプのが用意された。カスタムメイドのものを用意する余裕はなかったからな。


「え、と、もう入って大丈夫かな」


そろそろ用意ができたかと思って声を掛けてみる。


「は、はい、どうぞ…!」


思った以上に可愛い感じの声に俺は少し戸惑いつつも部屋に入る。すると病院着を纏ってギプスで腕を固定し、椅子に座った秋嶋シモーヌが迎えてくれた。両脇にはメイフェアとセシリアが控えている。


「え~と、取り敢えず何から話せばいいかな。ああまずは自己紹介か。俺は神河内(かみこうち)・フィッツジェラルド・連是(れんぜ)。貴女と同じくこの惑星に不時着した者だ。だから申し訳ないが救助隊とかじゃない。その前提で話をしたい」


『救助隊とかじゃない』と俺が言うと、彼女はやはり残念そうな顔をした。さっきの会話でメイフェアからも同じく遭難者だと聞いてはいたが改めて告げられたことではっきりしてしまったからだろう。だがそれで逆に冷静になったのか、彼女はすっと立ち上がって頭を下げた。俺の名前を聞いて日本由来だと思ったからだろうな。


「この度は助けていただいてありがとうございます」


丁寧にそう言ってくれて俺はむしろ恐縮してしまった。


「いえいえ、助けられたのはメイフェアのおかげです。彼女が貴女の悲鳴に気付いたからですよ」


そう言われて、


「メイフェアが? ありがとう!」


と秋嶋シモーヌがメイフェアに向き直って手を取った。するとメイフェアも嬉しそうにその手を握り返して、


「助けられてよかった……本当に良かった……!」


と泣きそうな顔で応える。


そんな彼女に微笑み返した後、秋嶋シモーヌはハッとした表情で俺の方に向き直り、言った。


「たくさん訊きたいことがあります。よろしいでしょうか?」


「もちろん。俺に分かることでしたら何でもお答えします。でもその前に座りませんか? 立ったままじゃ辛いでしょう」


そう言って俺が促すと、彼女は、


「すいません。お言葉に甘えさせていただきます」


とやはり丁寧に答え、椅子に座った。俺も椅子に座り向かい合う。


「じゃあまず、私はどうなってしまったんですか? この体は…!?」


当然一番聞きたかったことであろうことに、俺は答えたのだった。


「非常に申し上げにくいのですが……」



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