接触(やはり野生だけに直接的だな)
「じゃ、取り敢えずいったん帰るか」
密と刃がほぼ<俺のもの>なったらしいことを確認できたことで、今回の調査は終了ということにした。宇宙船まで戻り、状況の整理と態勢の立て直しを図る。
とは言え、密と刃の仲が良くなったとかそういう訳じゃない。相変わらずお互いに警戒し合って、かつ俺を間にして互いに何かを主張し合ってるかのようにそれぞれ相手を牽制する仕草を見せる。
石を手にしてそれを投げつけるようなふりをする密に対して、刃はカマを振り上げて威嚇していた。
「喧嘩になるようなら止めてくれ」
エレクシアにそう指示を出しているから大丈夫だとは思うが、やれやれだ。まあ、どちらも野生の動物同士、『話し合いで解決』とはいかないよな。
この辺りの不測の事態に備えてしばらくは慎重に様子を見ることにした。調査についても当面はお預けだ。その間に二匹、いや二人の様子を観察するとともに、次の調査の大まかな計画を練る。
密は、二日に一度の割合で俺に体を擦り付けてきた。初めての時には俺も戸惑っていたからしっかり観察できなかったが、よく見ると表情もちゃんと人間のそれだった。とろんとした目で俺を見詰めたかと思うと行為の間は目を閉じて集中してるのが分かる。目を閉じるということは完全に俺に対して身を委ねているということだ。この時、攻撃とかされても間違いなく反応が遅れるからな。
しかも、完全に蕩けたような顔になる。しっかり性的に上り詰めてるのが確認できた。
一方、刃の方はと言えば、こちらは密に比べると控えめというか、群れで守ってもらえる訳じゃないという前提の違いがあるからか、行為に没入するという感じじゃなかった。俺に体を寄せて自分の首筋を擦り付けてても、完全には油断はしていない。俺に対しては気を許してても、周囲に対する警戒は怠っていないって言うべきか。
こうして見るだけでもそれぞれの違いが分かって面白かった。
ちなみに俺はというと、悪い気はしないんだがやっぱりもっと大人な感じの女性の方が好みだな。密の濃密な接触にはそそられもするが、理性を失うほどじゃなかった。
「その割には随分とお元気なようですが?」
俺の肉体的な反応に対し、エレクシアの冷静なツッコミが。
「これはただの生理現象だ! ほっとけ!!」
外見だけならエレクシアが一番好みに近いんだが、残念ながら彼女にそういう機能はない。そういう機能に特化したロボットも売ってるんだが、そっちまで買う余裕もなかったんだよなあ。