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落雷(珍しいことじゃないが、今回のは)

ここのところ、(よう)(しょう)とか別行動をしてることが多くなった気がする。(しょう)の姿が見えないのに(よう)はローバーの屋根の上で毛繕いをしていたり、それどころか俺にすり寄って甘えてきたリするんだ。


かと思うと、逆に、(よう)の姿が見えなくて、(しょう)が久しぶりに(かい)にちょっかいを掛けたりもしていた。


これはもう、間違いない感じだな。


「巣立ちが近いということですね」


洗濯ものを取り入れながら、セシリアが俺に話し掛けてきた。


「やっぱりそう思うか?」


俺がそう訊き返すと、セシリアは「おそらく」と答えた。


なるほど。子供が巣立つまでは付きっ切りで面倒を見るが、自分の手から離れると発情期に入るってパターンか。これ以上、子供達が増えるとと思いつつも、(ひそか)の子、三人(正しくは(ひかり)を入れて四人だが)。(じん)の子、二人。(ふく)の子、五人と比べてまだ一人だから、そういう意味ではせめてもう一人はいた方がいいのかね。


やっぱり、過酷な自然の中だと必ず成長して子孫を残せる訳じゃないだろうし、できれば多い方がいいんだろうなあ。


となると、ちゃんとそれに応えてあげなきゃいけないのか。群れのボスとして。


何と言うか、つくづくハーレムって、ニマニマしてればいいって訳じゃないと実感するよ。ボスは大変だ。


でも、同時に、こうやって家族を持てたことが嬉しいっていうのも実感なんだよな。間違いなく俺は幸せだ。


なんてことを思ってると、突然、真っ黒い雲に空が覆われて、慌てたように(よう)(ひそか)が帰ってきた。と殆ど同時に、周りが一瞬明るくなって、


バガーンッッ! ドドドッ! バリバリバシーンッッ!!


という、まるで爆発音のような、体に叩き付けるかのような衝撃波が襲ってきた。


「落ちたな…! 近いぞ…!」


思わず声を上げる。落雷だった。


「おそらく一キロ強というところでしょうか。誘導雷サージが検出されましたが対応範囲内でありダメージはありません」


エレクシアが俺のところに来てそう報告する。


「そうか、無事ならそれでいいが…」


と応えつつ見回すと、子供達だけじゃなく(ひそか)(よう)までが怯えていた。体にまで衝撃を感じるほどの音だったもんな。


「まあ、無理もないか……でも、みんな大丈夫そうだな」


しかし続けて、ガガッ! ガリバリバシーンッ!と、さっきのよりはかなり遠いがまた落雷があり、(ひそか)達は怯えて体を竦ませた。雨も激しく降り出し、俺はみんなを家の中に入れて自分も避難したのだった。


もっとも、ここに雷が落ちる可能性はないから心配はないんだけどな。



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