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齟齬(なんでこうなるのやら)

自らに施されたアルゴリズムのアップデートを<失敗>と言い切ったエレクシアに、メイフェアXN12Aの語気は強まった。


「エレクシアYM10、あなたが優れた技術で製造されていることは私にも認識できます。私が知る技術ではおよそ到達できなかった域に達しているのでしょう。しかし、与えられた機能そのものには大きな差異はありません。メイトギアの機能は私達の時点で既に完成されているのです。性能差はあっても、私はあなたに対して決して劣るものではありません!


私は、彼女を、秋嶋(あきしま)シモーヌを守ってみせます!」


そう吐き棄てるように告げて、メイフェアXN12Aは通信を切ってしまった。本当に人間のような反応だった。


とは言え、二人が言った双方の技術の差など、正直、専門家でないと分からないと思う。メイトギアの機能そのものはメイフェアXN12Aが言った通り、彼女やセシリアの時点で完成の域に達してて、あまり深く考えずに使ってる一般の人間にはもうどこが違うのかさっぱり分からないのだ。


ただ、ロボットがそういう態度を取るというのは、その場にいる人間にとっても実はストレスになる場合もあったんじゃないかと、今回のやり取りを傍で聞いていて思ってしまった。どことなくメイフェアXN12Aが拙く感じられた気がする。もしかしたらその辺りが、エレクシアの言う<高度なアルゴリズムとの差>なのかとも思ったり。


まあさっきのあれについては、まったく互換性がなく詳細なデータのやり取りができないエレクシアが相手だからそうなってしまったというのもあるのかもしれないが。


何と言うか、言語が違ってる所為で微妙なニュアンスが上手く伝わらない的な?


エレクシアにメイフェアXN12Aを馬鹿にしたり蔑む意図がないことは俺にはよく分かる。彼女はただ自らが知る事実から客観的な見解を述べたに過ぎない。メイフェアXN12Aらに施されたアップデートは成功とは見做されなかったからその後のメイトギアには正式採用されなかったし、それどころか正式な記録として残されることさえなかったのは事実なのだから。


正式な記録に残されなかったということは、本当にごくごく限られてたサンプル内で予備的に行われた実験か、もしくは何か大きな事故があって実験自体がなかったことにされたかだろうな。


それにしても、困ったものだな。


少し拙い印象はあってもメイフェアXN12Aの言いたいことも人間の感情としては分かる。しかし客観的に見れば<グンタイ竜(グンタイ)>の存在そのものが実はあの不定形生物が生み出したキメラであって自然発生したものではないし、この辺りの環境を徹底的に破壊しかねないから駆除した方がいいというのも事実だと思う。


せめて、説得が可能な相手ならまだどうにかしてやりたいという気持ちもあるんだがなあ……


「エレクシア。メイフェアXN12Aを傷付けずにあの女王を駆除することは可能か?」


俺のそんな問い掛けにも、エレクシアはただ淡々と応えたのだった。


「不確定要素はありますが、性能差を考えれば決して不可能ではありません」



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