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感情(ロボットでそれを再現しようとしたからか…)

まさかグンタイ竜(グンタイ)の女王が見た目アリ人間(アリ)で、かつコーネリアス号乗員の秋嶋(あきしま)シモーヌの姿を再現してるだと…?


想定外が過ぎて俺は頭を抱えていた。


だが、エレクシアはやはり冷淡だった。


「メイフェアXN12A、あなたは状況を正しく理解していません。あれは人間ではありません。人間の遺伝子を取り込みその姿を再現しただけの野生生物です。あれを秋嶋シモーヌと呼ぶのは論理的ではありません」


エレクシアの言うことはもっともだった。俺だってあれが人間だとは思わない。クモ人間(クモ)と同じく頭の部分が人間の姿をしているだけの、ある意味ではただの擬態だ。人間がいないこの惑星で何のメリットがあるのか知らないがな。


しかし、メイフェアXN12Aの言いたいことも分かってしまう気がするんだ。透明であるという以外に見た目が完全に一致するなら、そこまで割り切れないというのもな。それが人間の感情というものだと思う。正直、あれが秋嶋シモーヌだと聞いて、俺も動揺してしまった。


クモ人間(クモ)の映像を見てもメイフェアXN12Aは特に何も言わなかった。ということは、交配を続けて世代を重ねているうちに、人間に似た部分の姿がコーネリアス号の乗員のそれとは変わってきたということだろう。なのに、不定形生物がそのまま変化したと思しきあのキメラの人間に似た部分が完全に秋嶋シモーヌのそれだったということだ。あれが一代目ということだな。


だがここで俺は、また別のことに気付いてしまった。コーネリアス号の乗員が襲われたのは、もう二千年以上前のことの筈だ。それなのに、ここ数年内にあの女王になったであろう不定形生物にまだその遺伝子情報がそのままで残ってるということだよな? 書き換えられもせず。


あの不定形生物は、本当にどういう生態をしてるんだ? まさか二千年前にコーネリアス号を襲った個体がそのまままだ生きてたということなのか? それとも、代を重ねてもかつて取得した遺伝子情報はそのまま受け継がれてるってことか? そのどちらにしても、二千年以上前の遺伝子情報がそのままということは、その間に新たに取得した遺伝子情報も更に蓄えつつ増え続けてるってことか? そんな生物、有り得るのか? あれはいったい何なんだ?


そんな思考をぐるぐると巡らせている俺を尻目に、メイフェアXN12Aはエレクシアに言い返していた。


「たとえそうだとしても、完全に秋嶋シモーヌの姿をしたものを、私は『人間ではない』と割り切ることはできません! 私は、人間の心を再現されたロボットなのですから…!」



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