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関係(親密度が上がるのはいいんだが)

取り敢えず(ひそか)に仲間がいることは確認できたわけで、今回の調査はここまでにすることとした。


(ひそか)、一緒に来るか?」


俺が手を差し出し微笑みながらそう言うと、彼女は(じん)のことを警戒しつつもゆっくりと俺に近付いてきて、ギュッと抱き付いてきた。さすがに木の枝とかを自在に使ってこの密林の中を立体的に行動できるだけの身体能力があるから力が強い。一瞬、息ができなくなる程に抱き締められて俺が「ぐ…っ」と声を漏らすと、慌てて力を緩めてきた。加減を考える程度の知能はあるのが分かる。当然か。でなければ自分達の赤ん坊を握り潰してしまうことにもなるだろうからな。


「あ~、うぁ~…」


初めて聞いた(ひそか)の声は、まるで力加減を間違えたことを謝っているかのようにも思えた。


「ありがと。大丈夫だ」


俺はそっと頭を撫でながらそう応えた。すると彼女も安心したのか、俺の胸に頭をうずめてくる。普通に、子供が親に甘える感じの仕草だった。それが何だかたまらなくて、俺も(ひそか)を抱き締めた。


と、急に彼女の体温が上がったように感じて、しかも、


「うぁ~、ぁあ~」


さっきまでのとは違う、どこか鼻にかかったような声を上げ始めるのが分かった。それだけじゃない。俺の足を自分の両足で挟んで体をぐりぐりと押し付けてくる。


「…これって、まさか…」


戸惑う俺に、エレクシアが冷静に応えた。


「性行動ですね。明らかに」


だよな~!?


これを機に、その後も(ひそか)は、気持ちが昂ってくると俺に自分の体を押し付けるようになったのだが、それはまあおいおい語ることにしよう。ただこれにより、疑似的な性行動を行って親密になろうとする辺りで生態的に<ボノボ>が最も近いというのが判明した。


とは言え、この時にはまだどうしていいのかよく分からなかったし、しばらく様子を見ていると、満足したのかうっとりとした感じで俺を見詰めながらも体を離してくれた。ああ、その程度で満足してくれ助かったよ。それ以上は、色々と大変だからな。


自分を助けてくれたとかそういう理由で懐いたのなら、むしろエレクシアに懐きそうなものだが、さすがに群れで生きている生き物だけあって、俺が主でエレクシアが従であるという関係性を見抜いているんだろうな。それで、この<群れ>のボスである俺に従おうとしてるんだろう。


が、(ひそか)が離れてくれてホッとしたのも束の間、俺は刺すような視線を感じ、恐る恐るそちらに顔を向けていた。そこには、表情までは読み取れないものの間違いなく俺と(ひそか)を睨み付けてる(じん)の姿があった。


「発汗、体温の上昇、神経の緊張、対象に固定された視線。ほぼ間違いなく嫉妬ですね、これは」


エレクシアがやはり淡々と告げたのだった。



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