表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/2924

状況説明(さすがロボット。事務的だな)

「状況説明が必要でしょうか?」


(じん)を組み伏せたまま、エレクシアがそう切り出す。「頼む」と応えた俺に、彼女は淡々と語りだした。


(ひそか)が残ったのは、群れからはじき出されてしまった為だと思われます」


…なに?


「どういうことだ?」


てっきり、(じん)についての状況説明だと思っていた俺は、思わぬ言葉に戸惑っていた。しかし、そんな俺には構わずエレクシアは続ける。


「私は(じん)の先回りに成功し、先に(ひそか)とその仲間と思しき群れを確認することができました。しかしその時、(ひそか)は群れの仲間から明らかに迫害を受けていたのです」


「迫害だと?」


「はい。石や木の枝をぶつけられ、追い出されるところだったと推測されます」


そこまで説明された時、俺の頭をよぎるものがあった。


「もしかして、俺の匂いがついてた、とかか…?」


その問い掛けに、エレクシアが頷く。


「おそらくそうでしょう。(ひそか)はかなり匂いに敏感な種のようですから、マスターに何度も触れられた(ひそか)に得体の知れない匂いが付いていると、仲間達は警戒したと考えるのが妥当です」


「それは申し訳ないことをしたな…」


やはり木の陰から不安そうにこちらを窺っている(ひそか)に視線を向けて俺は詫びていた。まあ、今さら詫びてもどうにもならないのは分かってるんだが、気持ち的にな。


が、(ひそか)のことも気になるものの、今度は(じん)の方に視線を向けて俺は言った。


「もし大丈夫そうなら解放してやっていいぞ」


「承知しました」


エレクシアはそう応えて、あっさりと、しかし警戒は怠らずに(じん)の拘束を解いた。


飛び退いて逃げるかと思った(じん)だったが、俺の予測に反して関節を極められていた腕を庇うようにしながらゆっくりとその場に立ち上がって、俺達に警戒しつつもじりじりと距離を取るだけだった。


「もう完全に敵対心を向ける気はないようですね。力の差をここまで見せ付けられてしまっては当然かも知れませんが。


(ひそか)の仲間を狙ったのは、(じん)にとっては好物とも言える都合の良い獲物だったからだと推測されます。体が大きく、(じん)に比べれば動きが緩慢で強力な攻撃方法も持たない。そして数が多い。群れを作り数を増やすのは、力の弱い種に多く見られる生存戦略ですから。


しかしこれで私達が(ひそか)の仲間を守ると理解したとしたら、少なくとも(じん)(ひそか)らを狙う可能性は下がったと見ていいかもしれません。リスクの低さがメリットだったとなれば、これでリスクは非常に高くなったわけですし」


エレクシアのその推論には、俺も概ね納得したのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ