モニカとハートマン編 喜びもひとしお
こうして、ルコアは、正式にビクキアテグ村の住人となった。
とは言え、さすがに村の改名はしない。実は、
「私はビクキミアテグ村に改名してもいいよ」
未来が生まれた時に灯はそう言ったものの、いや、それをしていたら住人が増えるたびに名前が長くなるじゃないか。ということで。
村を立ち上げた時のメンバーが、ビアンカ、久利生、來、灯、テレジア、グレイ、ということで<ビクキアテグ村>になったんだから、それでいいんだよ。
「んじゃ、ルコアの正式な参加を記念して、かんぱ~い!」
「乾杯」
「かんぱ~い!」
「乾杯…」
灯が音頭を取り、乾杯を交わす。
灯とルコアはフレッシュジュース。久利生とビアンカはコーネリアス号に残されていたブランデーで。
今も灯は酒は飲まない。どうしても『毒だ』という感覚が抜けないそうだ。これは光も同じである。
「お~っ!」
未来も、まったく意味は分かってないみたいだが、水が入ったグラスで乾杯の真似をする。來は、それこそ先にインパラ竜の骨付き肉にむしゃぶりついていた。彼女には意味不明なそれだしな。
それでいて、未来がルコアの方に近付こうとすると、ガシッと頭を掴んで行かせない。見てるだけならいいが、それ以上はということだろう。
「あーっ! がーっ!!」
未来はそれが気に入らなくて抵抗するもののさすがにどうにもならない。
まあでも、もう少し大きくなったらそれこそ関係なくなるだろうが。
ルコアも、來のことは苦手なものの未来のことは可愛いと思っているので、ちょっと残念そうだ。
ちなみに、俺とシモーヌはモニカとハートマンが抱えるタブレット越しに参加している。
「いやはや、ここまでこれたのは、本当に良かったよ」
しみじみ俺が呟くと、久利生も、
「そうだね。僕も同感だ。けれど、それだけに喜びもひとしおだよ。ルコアに認めてもらえたということだからね」
感慨深げに口にする。
実際には、ルコアは今でもビアンカにべったりなものの、それでも大きな前進には違いない。それに、灯にも慣れ始めてるからな。灯と行動を共にできるようになれば、さらにビアンカと久利生の二人の時間を造ってやれるだろう。
また、ルコアが落ち着けている要因の一つが、モニカとハートマンを一緒に連れてきたからというのもあるだろうな。テレジアとグレイは、同じアリスとドライツェンとはいえ、個性が生まれつつあるから、若干、印象が違うんだよな。
事実、ルコアは、テレジアとグレイにはあまり近付こうとしないし話し掛けもしない。
もっともそれも、一緒に暮らしているうちに慣れてくるだろう。
慌てることはない。




