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総攻撃(こいつら、本気だな)

続けて飛び出してきたボクサー竜(ボクサー)も、次々と空中で(めい)に叩き落とされた。その隙に、(ひかり)は家へと駆け込む。


代わりに、(ふく)が、(そう)が、(かい)が家から飛び出してきて、(めい)が地面に叩き落としたボクサー竜(ボクサー)に次々襲い掛かった。


更には(よう)(しょう)(じん)も、少し離れたところで密林に入って次々とボクサー竜(ボクサー)を狩っているのが分かった。


この時、(ほまれ)はいつものようにメイフェアXN12Aを伴って<修行>に出ていて、(しん)(げん)とデートで不在で、エレクシアは例の透明な個体の姿を捉えてそちらを対処していた。セシリアは万一に備えて俺と一緒に自動小銃を手に、(ひそか)(ひかり)(ほむら)(あらた)(さい)(りん)を守って家に立てこもる。(じん)の息子の(じょう)は、母親の胸にしっかりとしがみついてもはや一体化しているようだ。まだカマが十分に育ってないからその方が安全だということか。


「くそっ! まるで総攻撃だな」


いや、<まるで>じゃなくこれは間違いなく総攻撃なんだろう。あの透明なボクサー竜(ボクサー)の指揮の下、群れで俺達に総攻撃を仕掛けてきたんだ。


「マスター、意見具申します。彼らはもう、私達を完全に敵と見做し、殲滅する為に攻撃を仕掛けてきたものと判断せざるを得ません。よって、防衛ではなく攻勢に出ることを提案します」


タブレットを通じてエレクシアが俺にそう言ってきた。それを聞いた俺の脳裏に、(しん)を助ける為にエレクシア達が集結した時に見せた、忌々しそうに口の端を歪めた姿がよぎっていた。


そうだ。あいつはただの<野生の獣>じゃない。明らかに意図を持って俺達を敵と見做して攻撃してきていることは俺にも分かる。だからもう、これは、野生の獣の襲撃じゃなく、<急迫不正の侵略行為>なのだ。


「止むを得ん。エレクシア、やれ! <敵>を殲滅しろ!」


「承知しました」


淡々と応えたエレクシアは、容赦がなかった。ポケットから戦闘用のナイフを取り出し凄まじい速度でそれを振るい、ボクサー竜(ボクサー)の首が次々と胴体から切り離される光景がタブレットに映し出されている。これがエレクシアの本気だ。


エレクシア自身は、弱小メーカー製の、要人警護仕様としては正直、二級品でしかない。彼女よりも強力な要人警護仕様のメイトギアはいくらでもいるし、純粋な戦闘用のロボットに比べればそれこそ玩具に毛が生えた程度の存在だ。しかし、ただの動物にとっては彼女はまさに鬼神のように常軌を逸した<怪物>だった。


だが、エレクシアの圧倒的な強さは別としても、(めい)達の強さもさすがだった。数で勝るボクサー竜(ボクサー)を相手にしても互いに連携して死角を補い合い、圧倒していたのだった。



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