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明の日常(他の子達の陰に隠れてしまってるが)

今よりさらに小さかった頃には、狩りの練習なのか俺や他の子供達に突然飛び掛かった(めい)も、今では母親の(じん)と同じように気配を殺してひっそりとしている。(じょう)についてはかつての(めい)と同じく狩りの練習を始めたのか(ほむら)(あらた)に飛び掛かったりもしてるが、それでも他の子達に比べればずっと大人しい。


そんな感じで目立たない(めい)だったが、それでも(ひかり)とは割と仲がいいのか、けっこう一緒にいるところを見かける。(ひかり)が自分で読めるようになると、俺が彼女にやってあげたように、(めい)に対しても絵本を読み聞かせてあげたりもしてたのだ。


もっとも、(めい)が絵本をどういう風に見てたのかはさっぱり想像もつかない。単に(ひかり)が話しかけてくれるのを聞いていただけかもしれない。


「めい。えほん、よんだげる」


そう言って今日も、(ひかり)(めい)に絵本を読み聞かせていた。


(ひかり)(めい)との距離が縮まるに伴い、(ひかり)ワニ人間(ワニ)である(きたる)とはあまり遊ばなくなっていったようだった。泥遊びやおままごとは卒業ということかもしれない。あと、実は(きたる)はもうここにはいない。それについてはまた後に詳しく語ることにしよう。


狩りの練習か何かで(ひかり)にも飛び掛かったりしていた(めい)を、教えた訳でもないのにいつの間にか身に付けていた掌打で退けていた(かのじょ)と一番仲がいい感じなのは不思議だが、どちらも目立たないくらいに大人しいという点では共通する部分もあり、騒がしい他の子達よりは元々近い存在だったのかもしれないな。


なんてこともあって、正直な話、俺は(めい)のことはあまりよく知らなかった。たまに甘えるように背中に抱きついたりはしてきたが、そういう時も(ほまれ)とかが周りで騒いでて、(めい)を構ってやることは少なかった気もする。(ひかり)のように『絵本を読んでアピール』もしてこなかったし。


そのことについては申し訳なく思ってる。ただ、人数が増えてくると、子供達全員をしっかりと構ってやれなくなるというのは、大家族の宿命なのか。その分、他の兄弟姉妹達が相手をしてくれるんだろうが、かといって子供だけにそういうのを任せるというのもどうかとは正直思ってる。子供はあくまで子供。経験不足で未熟だから、大人と同じようには当然できないからな。大人が諭すようにはできないだろうし。


もちろん、子供同士故の良さもあるとは思うものの、子供に子供の世話を任せてしまう危うさも感じない訳じゃないのだった。


でもまあ、その辺は人間と野生の動物とでも事情が違うし、うちの場合は気にしすぎる必要はないのかも知れないが。



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