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カマキリ人間の憂鬱(何しろ大人しくて)

今回触れる話はいつも以上にスプラッタかつショッキングな内容が含まれるので、そういうのが苦手な方は要注意である。まあ、平気な人間は平気なんだろうが、念の為にな。




(じん)カマキリ人間(カマキリ)は、基本的にわちゃわちゃ動き回って騒ぐタイプじゃなかった。いつもだいたい気配を殺して黙って周囲の様子を窺ってる状態だからとにかく目立たない。


それは当然、(じん)の娘の(めい)も、息子の(じょう)も同じだった。姿が見えないと思えば密林の中に狩りに行っていて、小動物や鳥を捕まえては勝手に食べていた。(ひそか)(ほまれ)と違って生きている動物しか食べないからな。


しかも、人間の感覚からするとかなり怖いことなんだが、(ふく)(よう)達とも違って、『生きたまま食う』んだ。(ふく)は必ずとどめを刺して完全に殺してから食うし、(よう)も基本的にはそうだった。魚などは生きたまま食うこともあるという程度だ。


が、(じん)達は違う。『食い始めるまでは生きて動いてないと食わない』のだ。また、小動物や鳥などは頭からバリバリと丸かじりだから、その食事風景は完全にスプラッタである。


で、カマキリ人間(カマキリ)にとってはボノボ人間(ボノボ)も獲物の一つであり、別のカマキリ人間(カマキリ)ボノボ人間(ボノボ)を捕らえた時のそれを撮影したドローンの映像は、人間である俺にとっては実にショッキングなものだった。


何しろ、捕らえたボノボ人間(ボノボ)の頭を岩に叩き付けて割り、まだビクビクと痙攣してる状態のそれの脳をムシャムシャ食ってたんだからな。


もちろん、野生の肉食獣の食事なんてそういうものだとは分かってる。分かってるが、これが現実なんだということを改めて思い知らされて背筋が凍ったよ。


この群れにいる限りはそこまでする必要がないということのようだから(じん)はわざわざ他のボノボ人間(ボノボ)を襲ったりはしてないようだが、それが彼女達にとって良いことなのかどうかは、正直、悩ましいところではある。


そのことによってボノボ人間(ボノボ)を狩りの対象から外してしまったら、巣立ちした(めい)(じょう)が他に獲物を見付けられなかった時に、たとえボノボ人間(ボノボ)と遭遇してもそれを襲って食べなくて、結果として飢えて死ぬようなことになったらと思ってしまうんだ。


けっこうエグイ話になってしまったが、しかしこれも野生で生きるということだからな。


とは言え、(じん)(めい)(じょう)も、俺にとっては可愛い家族だ。


目立たないが。


そう。目立たないんだよ。(ほまれ)(しん)(そう)(かい)が目立ちすぎて、そこに(ほむら)(あらた)(さい)(りん)まで加わったことで、家の中がいつも台風みたいになってて、三人の姿が全く目立たないのだった。



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