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驚き(うん、まあ、そういうこともある…よな)

結論から言うと(しん)の怪我は決して軽いものではなかった。あの透明なボクサー竜に首筋に噛み付かれて、あと数ミリで頸動脈を咬み切られているところだった。咄嗟に腕で庇ったことでそれで済んだようだ。今は治療カプセルに入ってもらっている。傷そのものはかなりの深さでかつ不規則に並んだのこぎり状の歯に抉られた状態なので、もしかすると痕が残ってしまうかもしれない。


まあもっとも、彼女らはそんなものは気にしないかもしれないが。


で、あのヒョウ人間がそれにどう関わったかと言うと、どうやらあいつは仲間(それも若い雌)がボクサー竜に襲われてるということで助けに入ってくれたらしい。


実は、ヒョウ人間は生まれたばかりの頃はヒョウ柄があまり目立たず、ライオン人間と区別がつきにくいのだ。ある程度の年齢になってくるとはっきりしてくるんだが、時々、今の(しん)くらいの年齢になっても十分に浮き上がってこない例も割とあるようで、それで仲間だと思ってしまったらしい。


でもまあ、そもそもライオン人間とヒョウ人間の区別自体、単に生息域が違うのとヒョウ柄があるかどうかという違いしかないことも分かっていて、人間で言うと精々モンゴロイドかアングロサクソンかという程度の差のようだ。


となると、場合によっては十分、交配も可能な訳で、何と言うか…なんだ…その…どうやら(しん)の方が<一目惚れ>してしまったらしいんだよな。


しかも相手のヒョウ人間の方もまんざらでもなかったみたいで、(しん)がしがみついてるのを引き離そうとするでもなくただ傷をぺろぺろと舐めてやってたり。


とは言え、早く傷の治療もしないといけないし、何とか連れ帰ろうと(ふく)が説得してたみたいなんだが埒が明かず、そのうち(しん)の意識が朦朧としてきたようなので、俺がエレクシアに命じて、メイフェアXN12Aと連携して少々強引に奪い返してもらった。


エレクシアが出しうる最高速でヒョウ人間の背後に回ってそちらに気を逸らさせて、その隙にメイフェアXN12Aが(しん)を保護するという形だ。


その間、(ほまれ)がどの程度状況を理解してたかは知らないが、大人しく見てただけらしい。


ただ、こちらに帰ってくるまで、メイフェアXN12Aの背中に掴まり、彼女の胸に抱かれた(しん)の頭を撫でたりしてやってたらしいけどな。


あと、ヒョウ人間の方も、(しん)に対して未練があるのかついてきて、実は今も木に登ってこちらを窺っているのだった。


あれか? <嫁>を見付けてきた(ほまれ)に続いて、(しん)は<婿>を見付けてきたということか?


俺の子にしちゃやるじゃないか、二人とも。



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