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ヒョウ人間(このタイミングでかよ)

「こいつ…あの時の……?」


俺は、そのヒョウ人間(雄)に見覚えがあった。(ほまれ)の捜索に出た時に出くわしたヒョウ人間の一人に間違いなかった。ヒョウ人間は基本的に単独で行動する。こいつの縄張りに俺が足を踏み入れたんだろう。何度かマイクロドローンのカメラにも捉えられている。


クソっ! ボクサー竜に加えてヒョウ人間までかよ……!


俺は胸がかきむしられるような思いだった。だが、この映像を送ってきたのが誰なのか気付いた時、その感覚がかき消されるのも感じた。


メイフェアXN12Aだった。彼女のカメラに捉えられた映像が映し出されていたのだ。俺達の機器にリンクはできないが、彼女が送った映像くらいなら受信はできる。それを受信した宇宙船のAIが転送してくれたのだ。俺が(しん)を探していたから。


後で分かったことだが、(しん)の悲鳴を耳にした(ほまれ)がしつこく絡んできてた奴を振り切って駆けつけたことで、メイフェアXN12Aもその場に駆けつけることができたという訳だった。


そんな彼女のカメラが捉えていたのは、樹上で、ぐったりとした(しん)を抱きかかえたヒョウ人間と、その樹を取り囲む、あの透明な個体を中心としたボクサー竜の群れとが睨み合う光景だった。


ヒョウ人間は、ボクサー竜の群れに対して牙を剥き、「うるるるる!」と唸り声も上げていた。まるで、(しん)を庇うかのように…?


そこに、「グァオッ!!」と吠えながら(ふく)が現れ、更にその背後にはエレクシアの姿もあった。追いついたマイクロドローンのカメラに映像が切り替わり映し出されたのは、(ほまれ)、メイフェアXN12A、(ふく)、エレクシアが、(しん)の下に駆けつけたという光景だった。


それを見たあの透明なボクサー竜の個体が、明らかに忌々しそうに口元を歪めたかと思うと、ボクサー竜は密林の奥に姿を隠してしまったのだった。さすがに分が悪いと踏んだのだろうが、何という悪知恵の働く奴だ。


しかし、それでその場の緊張が解かれた訳ではなかった。「ガルッ! グゥウウウッ!」という唸り声をマイクロドローンのマイクが拾っている。


(ふく)だった。(しん)を抱いたヒョウ人間に向かい、威嚇しているのだ。『その子を放せ!』とでも言っているかのように。


すると、母親の声に気付いたのか、それまでぐったりとしていた(しん)が頭を上げて、ハッとヒョウ人間を見るのが分かった。それから(ふく)の方を振り返り、


「ニャーッ!」


と、まるで猫のような声を上げた。その瞬間、(ふく)の様子もスイッチが切られたかのように変わった。


「ミャーッ!!」


と、こちらも猫のような声を上げる。


何だかよく分からないが、どうやら何か会話してるらしいというのは察せられたのだった。



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