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深の成長(誉について行ってるだけだが)

メイフェアXN12Aが家族に加わって一年半が経って、今日は子供達の成長について改めて考えてみる。


あと三ヶ月くらいで四歳を迎える(ほまれ)の方は順調に経験を積んで成長してるみたいだから、実はもうあまり心配していない。無駄に縄張りを主張する遠吠えもしなくなり、でも他の群れに加わるべく自分の力を誇示するように、兵隊に挑みかかっているようだ。


その<兵隊>達も、(ほまれ)よりは確実に年上だが明らかに若いことが分かる個体だった。人間で言えば十代半ばくらいだろうか。他の群れから巣立ってそこに加わってまだそう長くない感じだろう。


さすがに体格に差があって不利だったが、マイクロドローンカメラに映し出される闘いっぷりは、それなりに様になってきてる気もする。何より、不利だと見るや無理をせず撤退するのがいい。無謀は勇気じゃない。それをわきまえてきてるようだ。


野生では、臆病なものこそが生き残る。そういう一面があると思う。強さだけでは生き残れない。自分より強いものなんて、いくらでもいるからな。


ボノボ人間最強の雄でも、たぶん、(じん)達カマキリ人間の成体の雌には勝てない。それどころか未熟な若い個体相手でやっと互角くらいじゃないかな。だから無理には戦わない。自分より強い外敵の場合は、威嚇して群れが逃げる時間を稼ぐのがボスの役目だ。そして群れを逃がしたら自分もさっさと逃げる。


そういうものだと思う。弱い者が強い者を倒すなんて、実はそんなにあることじゃない。弱そうに見えるのが強そうに見えるやつに勝てたなら、それは総合的に見て勝った方が強かったってことなんじゃないかな。


だから(ほまれ)が負けて逃げ帰ってくるのも、俺は恥ずかしいことだとは思わなかった。自然では、生き延びた奴が勝ちなのだ。死ねばただ他の生き物の糧になるだけだ。生きて帰ってきてくれるならそれでいい。まあそれも、あと二年かそこらのことだろうがな。


四歳を間近に控えた(ほまれ)には、巣立ちの時が近付いてる。普段の振る舞いにも落ち着きが見えてきた気がするし、いっぱしの『雄』って感じも漂わせてきてるんだよな。メイフェアXN12Aを従えてるし。


ただ、あいつのそんな成長を寂しく思ってるのが(しん)なのかもしれない。だから(ほまれ)の後について行って密林に入って、ボクサー竜と鉢合わせたりもしているようだ。


幸い、(ほまれ)の近くにいることでメイフェアXN12Aも援護してくれるし、俺達の家からまだそう離れてないからいざとなれば俺が宇宙船に閉じこもることでエレクシアに助けに行ってもらうこともできるしで、こっちもそう心配はしてなかった。


それに、前にも言ったが一対一ならすでに(しん)の方がボクサー竜よりも強い。そして何度も、自分が倒したボクサー竜を獲物として持ち帰ったりしてたのだった。



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