表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/2929

深の気持ち(女心と言うか何と言うか)

メイフェアXN12Aが来てから数ヶ月。(ほまれ)(ほむら)(あらた)はすごく懐いていたが、以前にも言った通り、(ふく)の娘で(ほまれ)と仲が良かった(しん)は、彼女のことを毛嫌いしていた。と言うか、ヤキモチだな、これは完全に。


メイフェアXN12Aもそれは承知しているらしく、「ごめんなさい」などと言ったりはするものの、当然、人間式の謝罪など(しん)に通じる筈もなく、相変わらず敵視されてていた。


昼間は(ほまれ)だけじゃなく(ほむら)(あらた)までがべったりになったのでさすがに手出しをしなくなってたが、三人が寝付いた後には何度も襲い掛かったりしてもいた。


とは言え、完全に無抵抗で好きにやらせていようと、至近距離での重機関銃の直撃でさえ掠り傷で済む要人警護仕様のメイトギアであるメイフェアXN12Aにとっては、子供がじゃれついてる以上のものには決してならず、結局は遊ばれて終わるだけだった。(しん)に付き合って一緒に襲い掛かる(そう)(かい)(さい)(りん)は、もう既にそれ自体が遊びの一つになっていて、一通り遊ぶと疲れて寝てしまうというのも習慣になっていたようだ。


だが(しん)だけはどうしても納得がいかないらしい。なにしろ最近では、(ほまれ)は<修行>に忙しくて彼女に構ってやれてないみたいだし。


だからか、(ほまれ)が出掛けると、その後を(しん)もついて行った。二歳半を過ぎて、見た目にはもう人間の七歳くらいの大きさになった彼女の行動範囲も大きく広がっていたのだ。


そのことはメイフェアXN12Aも当然ながら承知しており、(ほまれ)も守りつつ(しん)に危険が及ばないように注意もしてくれていた。俺が頼んだからだ。


(しん)のことも守ってやってほしい。あいつは(ほまれ)の妹だからな」


とね。それには、俺に対して憎悪の目を向けてきたあの透明なボスが率いるボクサー竜の群れがしつこく辺りをうろついてて危険だったというのもある。


ボクサー竜は殆ど木には登れないから、いざとなれば樹上に逃げればいい(ほまれ)はさほど心配要らないにしても、草原が本来の生息域である(しん)は、咄嗟に樹上に逃げるよりもそのまま走って逃げるか立ち向かって戦うからしいからな。実はもう、一対一ならボクサー竜に勝てる程度には強くなっているのだ。だがそれだけに、立ち向かってしまってかえって危険を招く可能性もある。


主人である(ほまれ)の肉親となればやはり守らない訳にもいかず、メイフェアXN12Aは「承知いたしました」と快諾してくれた。


そしてその日も、(しん)は、(ほまれ)を追って密林に入って行ったようだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ