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嫉妬(女の闘い、怖ぇ~)

メイフェアXN12Aが(ほまれ)の<嫁>となったことで、彼女はあいつに付き従うことになった。


ただ、それで面白くないのは(ほまれ)と仲が良かった(しん)である。もちろん、母親が違うと言ってもどちらも俺の子であることには変わりなく、血縁上は兄妹だしそもそも種族が違うのでペア的なそれではないと思うが、『大好きな兄を突然現れた知らない女に取られた』ということなのだろうか、(しん)はあからさまにメイフェアXN12Aに対して攻撃的に振る舞った。


ほまれの傍に彼女がいると、背後から飛び掛かって体に噛み付くのは当たり前。時には完全に喉を狙って牙を突き立てることさえあった。


もっとも、二千年以上前の旧式と言えど、エレクシアと同じ要人警護仕様のメイフェアXN12Aに、子供の牙などゴムの玩具が当たった程度のダメージすら与えられる筈もなく、かすり傷一つ付けることもできないが。


それでも、やがて(そう)(かい)まで引き連れて、それどころか走れるようになった(さい)(りん)まで仲間に引き入れて五人で彼女に飛び掛かったりもした。しかし当然、全く歯が立たない。姉に唆されて小さな体でメイフェアXN12の両足に必死に噛み付く(さい)(りん)の姿なんて、ただただ可愛いだけだ。


「はいはい。遊びたいんですね」


と、掃除の為のはたきを持った彼女にあしらわれ、いつしかただ単にじゃれついてるだけになってたりもした。


(そう)(かい)(さい)(りん)はそれで満足してしまって昼寝をする中、(しん)だけが「うるるるる!」と唸り声を上げながら彼女を睨み付けていた。


で、当の(ほまれ)はと言うと、先日の経験がさらに成長を促したのか、懲りもせず頻繁に密林の中へと足を運び、「うお~っ!」っと吠えていた。一度や二度、撃退されたくらいで懲りていては群れは率いていけないということなのだろう。しかし同時に何かを学んだらしく、他の群れの連中と少し小競り合いをする程度で、旗色が悪いと見るや撤退するを繰り返すようになった。


なるほど、そうやって自分を鍛えつつ、相手の力量も測り、経験を積んでさらに強くなっていく訳だな。


その時、メイフェアXN12Aも(ほまれ)に付き従い、特に危険と判断した時には致命的なダメージを受けないように、他の群れの連中を小石などを使って牽制するということを行っていた。


ここで彼女が前面に出て撃退しないのは、こういう小競り合いが彼らの生態である以上、過度に干渉することは好ましくないからだ。(ほまれ)自身の成長の邪魔をすることにもなりかねないし。


そんな形で着々と巣立ちへの経験を積み重ねる(ほまれ)を、(しん)はどこか寂しそうな目で見ていたのだった。



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