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遭難(コッテコテすぎて草も生えねえ)

「マスター。お食事ができました。今日は近くの川で取れた鯉っぽい魚のムニエルです」


「おう、ありがと、エレクシア。お前はホントいい嫁さんだな」


「嫁ではありませんよ。私はメイトギアです。お間違えなく」


と、相変わらずジョークの通じない、青いロングヘアで造形はまあまあ美しいが仏頂面のメイド型ロボットのエレクシアYM10を相手に軽口を叩きながら、俺は今日も夕食にありついた。見るからに美味そうなそれを一口含むと、僅かに甘みのある白身がふんわりとほぐれて俺の心も満たしてくれた。


ジョークは通じない代わりに料理はやっぱり一級品だな。二流メーカーの不人気モデルの中古品でもさすがはメイトギア。名前も分からん川魚でもこれほどの料理に変えてくれるとは。


メイトギアというのは、まあメイド型ロボットというだけあって要するにメイドの代わりをする為のロボットだ。同時に、人間の仲間(メイト)として精神面のケアなども目的にして敢えて人間そっくりに作られている。


そして、ジャングルに閉ざされたこの場所に防水シートを吊るしただけの簡易テントの中で寛ぐ俺は今、まさにその恩恵に預かっている状態だった。




俺の名前は錬是(れんぜ)惑星(プラネット)ハンターだ。


惑星ハンターというのは、まあ、平たく言えば人間が開発する価値のある惑星を見つけ出すっていうのが主な仕事ということだ。通常はロボットがやる仕事なんだが、俺のように業としてやってる人間もいる。開発、特に人間そのものが移住するのに適した惑星を一つ見付けるだけで一生遊んで暮らせるだけの金が手に入るから、一攫千金を目指して挑戦する奴は結構多い。


もっとも、当たればデカいが賭けるのは自分の命ってくらいにリスクも大きいからな。こんなことしようなんて奴は、それこそ一か八かに賭けるしかないほどに追い詰められた奴が殆どだ。かくいう俺も、ヤバい奴らから金を借りて、返せなきゃ、二度と帰れぬ資源惑星での穴掘り仕事送りが一番マシっていうくらいの状態って訳。


だがそれでも、一発当てれば借金をチャラにしても余裕で遊んで暮らせる金になるからやってるってことだな。


―――――が、残念ながら俺の場合は、リスクの方を引き当ててしまったようだ。


それっぽい惑星を見付けたところまでは良かったんだが、ジャンク屋から買い叩いて手に入れた宇宙船が降下の際に故障し、動けなくなってしまったのである。まあこれも、俺みたいな人間の定番中の定番の末路なんだけどさ。


故障の内容自体はそんなに難しいものじゃなくて、部品さえあれば半日で直るものなんだよ。しかし、生憎その部品を手に入れられる当てがない。


という訳で、どうやら俺の人生はここでお終いってことらしい。



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