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勉強お泊まり会 後半

 「ここが奈津斗の家なのか」

 「うん、そうだよ」

 玲緒達みたいな一般人の家に比べ奈津斗の住む家は、まるで旅館のような大きさだったが見た目は完全に中世ヨーロッパ風の豪邸だった。

 「奈津斗って・・・・・・意外と金持ち?」

 あっけからんとした顔で聞く紗紅に対し奈津斗はなんだか申し訳なさそうだった。

 「そんなこといいから早く入ろうぜ」

 「あれっ? 玲緒は驚かないの? それに啓も」

 そもそも玲緒と奈津斗は中学時代、短い間とはいえ一緒にいたため奈津斗の家がどんなのかも知っているが、啓は恐らく何も思っていないのだろう。

 「そうだね、玲緒の言う通り中に入ろうか。

時間も勿体ないことだし」

 玲緒達は使用人に案内され奈津斗の部屋にいった。

 「ほんとに広いなー、これ絶対迷子になるよな」

 「うん、オレも油断すると迷うときがあるからね」

 玲緒と啓を蚊帳の外に楽しく話す二人に玲緒はイライラしていた。

 「おいっ! 俺のテスト勉強を手伝うんじゃないのかよ!」

 やっと本来の目的を思い出した二人は謝りながら机の上に勉強道具の準備をしていたが啓は一人本を読んでいた。

 「お前は何しにきたんだよっ!」

 「・・・・・・強いて言うなら勉強から逃げ出す貴方を見に」

 完全に玲緒のことを馬鹿にしていた。

 「お前ふざけんなよ!」

 「・・・・・・別にふざけてないし」

 今にも玲緒の手がでようとしたとき、紗紅と奈津斗が止めた。

 「まぁまぁ二人とも落ち着いて話せばわかるから、ね」

 「うるせー、もうこいつとは話しても無駄だ」

 この状況をどうにかしようと考えた奈津斗はある提案をした。

 「そうだ! 勉強をする前にお互いの仲を深めるためにゲームをしようよ」

 そう言うやどこから取り出したか分からなかったがUNOを取り出した。

 「おっいいねーそれ、やろうぜ」

 その場の勢いと共にUNOが始まった。

 


 三人の手札が順調に減っているなか玲緒の手札だけが一向に減らなかった。

 「・・・・・・はい、スキップ」

 「はぁあー! またスキップかよ!」

 そう玲緒の手札が減らない理由は啓がピンポイントで玲緒の番を飛ばしたり手札を増やさしているからだった。

 「くそ~」

 結果、奈津斗が一位 紗紅が二位 啓が三位 玲緒が四位といった結果になった。

 「おい啓、お前よくも邪魔ばかりしてくれたな!」

 「・・・・・・別に啓はルール通りやっただけだし」

 さっきよりも仲が悪くなった二人に今度は紗紅が別のゲームを出してきた。

 「じゃあ今度は神経衰弱しよや、これなら勉強前にちょうどいい頭の運動になると思うし」

 またもやどこからかトランプが出てき四人は神経衰弱を始めた。



 三人が順調に揃えているなか先程と同じように玲緒だけがあまり揃えれてなかった。

 「あーくそっまた違う」

 裏返しにしたカードと別のカードを表にした啓は数があってたので取った。

 「またお前が俺のめくったやつわ揃えやがってー」

 「・・・・・・このゲームは貴方には不向きですね弱すぎです」

 今回は堪えようとした玲緒だったがさすがに弱いと言われカチンときた。

 「お前いい加減にしろよ!」

 「まぁまぁ落ち着いてまだ負けたわけじゃないんだから」

 紗紅になだめられ最後まで一生懸命頑張ったが結果は紗紅が一位 奈津斗が二位 啓が三位 玲緒が四位となった。

 「結果負けじゃねーか・・・・・・てゆーかお前ら自分等の得意なゲームを選んでるんじゃないだろな」

 そう言われ露骨に目をそらした二人に玲緒は頭に来た。

 「やっぱりそうか、仲を深めるとか言いながら自分等の得意なゲームを選びやがって」

 「ご、ごめん玲緒ただ自分の得意なゲームしか思い付かなくて・・・・・・」

 謝る二人にこれ以上怒ることもできなくて仕方なく許してあげた。

 「まぁ遊びはこれくらいにして早く勉強を教えてくれ」

 そう言ってテスト用紙を広げる玲緒を見て啓は少し意外そうな顔をしていた。

 「なんだよ」

 「・・・・・・意外と真面目なんだなと思って少し感心しました」

 初めて啓に馬鹿にされなかった玲緒は少し嬉しい気持ちになってしまった。

 「・・・・・・始めからそうやって勉強をしていれば赤点にはならないのに」

 少しでも嬉しいと思ってしまった自分を殴りたかった。

 「はぁーまぁいいや、じゃ早速教えてくれ」

 やっと勉強会が始まり途中で夕食とお風呂を挟み続けたらいつの間にか夜の十一時になっていた。

 「これ以上は明日に響くしもうここまでにしようか」

 「よっしゃーやっと終わったー」

 ゴローンと横になった玲緒を奈津斗と紗紅が労っていた。

 「・・・・・・本当に最後まで頑張るとは思いませんでした」

 「うるせー・・・・・・まぁでも途中からお前にも協力してもらったしサンキューな」

 勉強の途中、紗紅と奈津斗でも教えきれないところを啓が教えたことによりなんとかできたと言う感じだ。

 「・・・・・・別に見てられなかっただけだし」

 しばらく啓と一緒にいた玲緒は啓がわざと腹のたつ言葉を言っているわけでなくただ不器用なだけだと気づいた。

 最初はギクシャクしてた二人も今はすっかりいい感じになっていた。それを見て奈津斗と紗紅は嬉しそうだった。

 「さぁ明日も早いし今日はもう寝ようか」

 使用人が用意した布団に玲緒達は眠った。

 次の放課後、勉強会のお陰で玲緒は無事再テストをクリアした。

   

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