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プロローグ
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耳障りな欲にまみれた喚声に包まれて、今日もオークションは幕を閉じる。
金持ちの優雅な遊びなんかじゃない。
命を賭けた、いや。正確に言うならば人生をかけたこのオークションは、あまりにも狂っていて、思わず呆然としてしまう。
「感想は?」
俺の横に座る彼女にそう言って微笑みかけられる。その笑顔の美しさに、心動かしている場合ではないことを頭の隅では理解していながらも、理解しているのに、顔を赤くして煩い心音を鳴らしている自分にうんざりしながら、俺は彼女の問いに答えを返した。